割りばし死事故、担当医、無罪確定へ/東京高検が上告断念  PDF

割りばし死事故、担当医、無罪確定へ/東京高検が上告断念

 東京都杉並区で1999年、割りばしがのどに刺さった保育園児杉野隼三ちゃん(当時4) が杏林大病院(東京都三鷹市) での受診後に死亡した事故で、東京高検は12月4日、担当医として業務上過失致死罪に問われ、1、2審で無罪となった根本英樹医師(40) について、上告しないと発表した。

 遺族にも結論を伝えた。上告期限の5日午前零時で根本医師の無罪が確定。同高検は「憲法違反や判例違反、判決を覆すだけの重大な事実誤認がなかった」と説明している。

 医療行為に絡み起訴された医師の無罪が確定した最近の事例は、出産後の女性が死亡した「大野病院事件」の福島地裁判決(2008年8月) があり、医療と刑事責任の問題があらためて議論となりそうだ。

 11月20日の東京高裁判決によると、隼三ちゃんは99年7月、盆踊り大会会場で転倒、綿菓子の割りばしがのどを貫き、脳に刺さった。耳鼻咽喉科の当直だった根本医師は傷口に消毒薬を塗り帰宅させたが、隼三ちゃんは翌日、死亡した。

 司法解剖で頭蓋内に7センチ余の割りばしが見つかり、警視庁は00年7月、医療ミスが死亡の原因とみて根本医師を書類送検。東京地検が02年8月に在宅起訴した。

 1審判決は、医療ミスを認めた上で死亡との因果関係を否定して無罪と判断。高裁判決は診察上の過失も否定した。両親らは上告を求める2390人分の署名を東京高検に提出していた。両親が根本医師らに賠償を求めた民事訴訟でも、東京地裁判決は過失を認めず請求を棄却した。【共同】(12/5MEDIFAXより)

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