京都市の「終活」リーフについて「声明」を発表しました

京都市はリーフレット「終活~人生の終末期に向けての備え~」を発行。4月10日から3万部を長寿すこやかセンターや各区・支所福祉事務所等での配架を開始しました。

リーフレットと共に、「終末期医療に関する事前指示書」も挟みこんであります。

これを受け、地元の京都新聞(4月24日付)は「延命治療諾否 事前選択促す 終活冊子 京で物議」との見出しで報道。法律家の「弱者切り捨て」だとの抗議や、難病患者さんのご家族からの、「暮らせる社会が先」だ「自治体は『死に方用意』を号令する前にやることがある」との声を紹介しました。

協会はこの件について、理事会などで意見交換・議論を重ね、5月30日付で表記のとおり、京都市に対して「終活」リーフの撤回・回収を求める声明を発表するに至りました。京都新聞も早速、6月2日紙面で声明を紹介してくれました。

終末期医療の在り方については、様々な意見があります。

しかし、一人一人の患者さんに寄り添い、ご本人やご家族とともに治療方針を立て、症状と患者さんの意向を常に確かめ、不断に治療方針を見直し、最善の選択を共に考えていくことが基本のはずです。

京都市の配布した事前指示書は「心臓マッサージなどの心肺蘇生法」を希望するか、「延命のための人工呼吸器」を希望するか、「胃ろうによる栄養補給」を希望するか、と選択肢を設け、チェックする内容。しかしそれらの「選択」は、医療者が寄り添いながら考えるべき話。公権力である京都市が、まるで「お知らせ」のように、「事前指示書」まで準備して配布するのは問題だと考えます。

さらに、現に人工呼吸器を装着し生きている方々、胃ろうを造って生きている方々やそのご家族は、市がこのような指示書をばらまいていることをどう受け止めるのか。協会の声明は「その人たちの「生」を否定する行為であることに、気づく感性が行政には求められるのである」と指摘しています。

京都市の動きが報じられた直後、国が全国の自治体にパンフ用作成資料を提供することが報じられました。

「死にたいと思っても生きられる。政府の金で(高額医療を)やっていると思うと寝覚めが悪い。さっさと死ねるようにしてもらうなど、いろいろと考えないと解決しない。」

これは、あまりに有名な現閣僚で、総理大臣を務めた方の言葉です。

国が終末期医療を語るとき、必ず、医療費の問題が背景にあると考えねばなりません。

京都市は「終活」リーフの撤回・回収を(2017年5月30日)

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