外来医師偏在指標で新規開業にハードル?  協会は厚労省へ出向き、直接要請へ

厚生労働省の「医師偏在是正策」が着々と具体化へ向かっています。これは、2018年7月に国会成立した改正医療法・医師法によるものです。

国は、これまで医師数比較を行う際に用いてきた人口対10万人医師数に代わる新たな「偏在を測る物差し」として、【医師偏在指標】を作ります。この指標を使い、全国の二次医療圏を並べ、上位33%を医師多数区域、下位33%を医師少数区域と設定。これを受けて都道府県は少数区域における医師数が、指標の下位33%を上回る医師数になるよう、医師確保計画をとりまとめ、医師確保に向け、努力することになります。

この際、基本的な考え方は医師多数区域から医師少数区域へ医師を移動することが基本であり、たとえば三次医療圏全体が医師多数である場合は他の三次医療圏からの医師確保はダメ。同じ三次医療圏内で融通しなさい、との方針を国は示しています。

「駒のように医師を動かすのか」(そんなことができるのか?)という批判も出ています。さらに、開業医にとって深刻なのが、「外来医師偏在指標」です。

これは、診療所医師の偏在を解消する目的の指標ですが、これを使った偏在是正策が実にわかりやすい自由開業制規制なのです。

それは次のようなものです。
(1)【外来偏在指標】を用いて、2020年より二次医療圏単位で【外来医師多数区域】を設定する。
(2)同区域では新規開設の届出様式に、地域で定める不足医療機能を担うことを合意する旨を記載する欄を設け、「協議の場」(≒地域医療構想調整会議)で確認すること。
(3)合意欄に記載がない場合は、開設者を協議の場に出席させ、その結果を公表する。

これはかなりあからさまな、新規開業規制です。日本の医療制度は明治維新以前より、公的セクターではなく、民間の開業医を基盤として発展してきました。

自由開業は今日の医師の在り方に大きくかかわっているのです。

もちろん、医師の足りない地域の医師確保が必要なのは言うまでもありませんが、果たして医師の自由開業をこうも易々と否定して良いのでしょうか。協会は2月8日、厚生労働省に出向いて懇談し、撤回を求めてきました。

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