2200億円削減は「雇用保険」と「後発品」/財政審が建議  PDF

2200億円削減は「雇用保険」と「後発品」/財政審が建議

 財務省の財政制度等審議会は11月26日、2009年度予算編成に関する建議を中川昭一財務相に提出した。建議では、11年度の基礎的財政収支の黒字化目標について「取り組みを怠ってはならない」とし、「目標を堅持する」とした過去の建議からトーンダウンさせた。「骨太方針06」に盛り込まれた5年間の社会保障費2200億円削減は引き続き継続するとし、09年度予算では「雇用保険の税負担の見直しと後発医薬品の使用促進など、改革努力を行うべき」とした。

 現在の国際金融情勢が大混乱していることを踏まえ、建議は政府・与党が10月30日にまとめた追加経済対策「生活対策」による大規模な財政支出を「緊急避難的措置」と位置付けており、将来的には財政規律を守るべきとの考えが基本スタンス。

 今後の社会保障の安定財源の確保については「消費税がその中核を担うにふさわしい」とした07年の政府税制調査会の答申を踏襲し、「答申の考え方に沿って可及的速やかに対応すべき」とした。追加経済対策に、持続可能な社会保障制度構築と安定財源確保に向けた中期プログラム策定が盛り込まれていることにも言及。ただ、「財政健全化の視点を踏まえ、10年代半ばを視野に、社会保障の安定財源の確保へのしっかりとした道筋と、そのための具体的な税制改革の在り方を盛り込むべき」との表記にとどめた。

 医療については、医師不足や救急での「患者たらい回し問題」の解消に向け、「病院と診療所間の診療報酬の配分の在り方や医師の配置などに関する規制の在り方の見直し」を挙げた。介護では、09年度改定で報酬を3.0%引き上げることで、従事者の処遇改善を着実に行うべきとしたほか、人材確保に向けては専門性などを踏まえたキャリアアップの仕組みを構築するよう求めた。

 2200億円削減のメニューと位置付けた後発品使用促進については、国としての普及啓発や、患者(被保険者) に後発品の使用を促す保険者努力の評価などを検討課題に挙げた。雇用保険については、雇用情勢の極端な悪化に留意しつつも「税負担については、廃止を含め、その在り方にまでさかのぼった抜本的改革を行うべき」と指摘した。

 また、08年度の実施が見送られる可能性が大きい健保組合などによる旧政管健保(現・協会けんぽ)への支援金の考え方については「09年度においても、被用者保険全体として、負担の公平化を図る取り組みを行うことが適当」とした。(11/27MEDIFAXより)

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