08審査アンケート結果のポイント〈診療所編〉

08審査アンケート結果のポイント〈診療所編〉

審査への「不満」が微増

 協会は、会員の審査問題に関する意見の実態を把握するために、2年に一度、「審査等に関するアンケート」を実施している。08年度調査は08年8月から9月にかけて実施、とりまとめた調査結果は2月末に全会員に送付予定である。

 アンケートの回収数(率)は、診療所=379件:19・3%(前回比+6・0ポイント)、病院=65件:38・5%(前回比+12・5ポイント)で、ともに前回より上昇した。本紙では、診療所の回答について、調査結果のポイントを報告する。

不満のトップは「審査基準の不明確さ」

 審査に対する満足度は、「満足」「まあまあ」との回答が基金38・3%、国保37・2%。逆に「少し不満」「大いに不満」との回答が基金41・7%、国保43・3%となった。経年的にみると、97年調査以来「不満」が「満足」を上回り、04年、06年の調査で基金が、06年調査で国保も「満足」が「不満」を上回っていたが、今回の調査では再度逆転した(図1・2)

図1 審査に対する納得度 (基金)

図2 審査に対する納得度 (国保)

 「不満」の具体的内容(複数回答)は、「審査基準の不明確さ」が最多で、基金65・8%、国保61・0%であった。次いで「返戻、再審査の時期の遅れ」がそれぞれ58・9%、56・1%、「医学的判断・見解」がそれぞれ48・7%、46・3%と続く。

 この1年間で減点査定を受けたことが「ある」との回答は、基金81・3%、国保82・3%と、ともに8割を超えている。これらの減点査定に対して「納得できる場合が多い」との回答は、基金30・5%、国保29・8%。逆に「納得できない場合が多い」がそれぞれ21・4%、24・7%、「半分半分である」がそれぞれ42・9%、40・1%であった。今回初めて選択肢に加えた「半分半分」が一番多くなった(図3)

図3 査定(減点)に対する納得度

 減点査定に納得できない理由(複数回答)としては、「明らかな病名漏れは返戻して欲しいから」が最多で、基金36・4%、国保36・1%であった。次いで「理由を説明して欲しいから」がそれぞれ31・1%、29・6%、「医学的に納得できないから」がそれぞれ25・1%、26・4%と続く。ここでも、今回初めて選択肢に加えた「明らかな病名漏れは返戻して欲しい」が一番多くなった。

 納得できない場合の処理については「仕方なく受け入れている」55・7%(前回比10・4ポイント増)、「再審査を申し入れる」44・9%(前回比1・7%減)が多い。納得できない場合、再審査請求を推奨している保険医協会としては、「仕方なく受け入れている」のポイントが増加していることが気がかりである。

再審査結果の「詳細な理由の通知」を望む

 査定(減点)に対する再審査請求は、基金、国保とも54・4%と過半数が実施している。

 再審査請求の結果に対して、「納得できる場合が多い」との回答は、基金22・8%、国保20・9%。逆に「納得できない場合が多い」がそれぞれ23・8%、26・7%、「半分半分である」がそれぞれ44・7%、40・8%であった。「半分半分」が一番多くなった(図4)

図4 再審査請求の結果の納得度

 医療機関からの再審査制度に「改善すべき点がある」との回答は、基金69・1%、国保69・9%で、改善点について(複数回答)は、「理由を詳細に文書で通知する」が最多で、基金68・3%、国保66・4%。次いで「再審査処理の迅速化」がそれぞれ49・2%、49・8%となっている。

 審査基準の公開については、「原則としてすべて公開すべき」が53・3%(前回比6・3ポイント増)、「現在より公開の部分を大きくすべき」が22・4%がと回答し、合計で7割5分超の方がいわゆる審査基準の公開を望んでいる。

 最後に、オンライン請求の義務化に関連して、規制改革会議が「審査の自動化」を求めていることについて質問した(複数回答)。「医学的判断は医師の審査委員が行うべきであり反対」が49・3%、「保険者がプログラムを活用して直接審査を行う危険性があり反対」31・4%との意見が多かった。

【京都保険医新聞第2669号_2008年12月15日_2面】

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