部門別収支「入院は黒字、外来は赤字」/試行調査結果、改定に反映?  PDF

部門別収支「入院は黒字、外来は赤字」/試行調査結果、改定に反映?

 厚生労働省は7月10日の中医協・医療機関のコスト調査分科会(分科会長=田中滋・慶応大大学院教授)に、2008年度実施した「医療機関の部門別収支に関する調査」の結果を報告した。類似診療科を整理した11種類の診療科群別の収支は、入院・外来ともに赤字だった精神科群など一部を除き「入院は黒字、外来は赤字」となるケースが圧倒的に多く、入院で発生した黒字を外来の赤字が食いつぶす傾向が顕著だった。

 今回の調査は、費用の案分など医療の原価計算のための手法が公的な調査として活用可能な段階に入ったとの認識の下で初めて「試行的」に実施した。ただ、調査対象はDPC対象病院と準備病院に限られている。結果を次期診療報酬改定に反映させるのかどうかの判断は中医協・診療報酬基本問題小委員会が下すことになる。

 調査結果によると、入院の収支差額は、精神科群で22%の赤字、麻酔科群で7%の赤字だった以外は、いずれも黒字。特に眼科群が46%と黒字幅が最も大きく、耳鼻咽喉科群で14%の黒字、小児科群、産婦人科群が各13%の黒字だった。

 一方、外来の収支差額は全診療科群で軒並み赤字。特に皮膚科群が74%、小児科群、整形外科群、麻酔科群が各48%と赤字幅が大きかった。

 入院と外来の合計の収支は、眼科で18%の黒字、産婦人科群と外科群で各5%の黒字、内科群で0%だった以外は、各診療科群とも赤字で、特に皮膚科群は46%、放射線科群は22%、精神科群で19%の赤字となっていた。

 今回の調査対象は事務部門などが比較的充実しているとみられるDPC対象病院と準備病院に限られている。厚労省は計597病院に調査を依頼したが、最終的に回答したのは127病院にとどまる。いったん調査への協力を受け入れながら調査の途中で脱落した病院も63病院あった。

 このため厚労省は、調査客体が限られていることや医療機関の負担などを課題に挙げた。09年度はほかの医療機関にも協力してもらえるよう、調査を簡素化する方法を検討することについても診療報酬基本問題小委に提案する。(7/13MEDIFAXより)

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