認知症短期集中リハビリ、ADLなど有意な改善/全老健調査

認知症短期集中リハビリ、ADLなど有意な改善/全老健調査

 2006年度介護報酬改定で創設された「認知症短期集中リハビリテーション実施加算」を算定している利用者は、認知症短期集中リハビリの実施後にADLなどが有意に改善していることが9月5日、全国老人保健施設協会の研究結果で分かった。特に暴言や徘徊など「周辺症状」(問題行動) で顕著な改善がみられた。全老健の川合秀治会長は5日の記者懇談会で「認知症短期集中リハビリが効果を挙げていることが証明された」と述べた上で、次期介護報酬改定に向け、報酬引き上げや算定要件の緩和が必要だとした。

 同加算は06年度介護報酬改定で、介護老人保健施設の認知症高齢者に対するリハビリの評価として創設。1人の医師または理学療法士らが1人の利用者に対し「マンツーマン」で認知症リハビリを20分以上行った場合、60単位算定できる。

 今回報告したのは全老健「認知症短期集中リハビリテーションの実施と効果に関する検証研究」で、07年7月−08年2月にかけて実施、36施設から回答を得た。同加算を算定している利用者203人と、算定していない利用者63人について認知機能やADL、意欲、周辺症状などの改善度を調べた。

 その結果、認知症短期集中リハビリを受けた利用者は、家事身辺整理や記銘力などNMスケール、意欲、ADLなどが改善していた。特に周辺症状は有意な改善がみられた。いずれも同加算を算定していない利用者よりも改善度が大きかった。

 同調査結果については、厚生労働省「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト」報告書でも取り上げられており、「軽度認知症に対する短期集中認知機能リハビリが、中核症状やBPSD (認知症の行動・心理症状) の改善に有効と示された」と紹介されている。(9/8MEDIFAXより)

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