診療報酬等の問題で意見交換 専門医会長との懇談開く

診療報酬等の問題で意見交換 専門医会長との懇談開く

 協会は3月28日、各科の専門医会長との懇談会を京都市内のホテルで開催。専門医会からは9人、協会からは関理事長はじめ理事者7人が出席した。懇談では協会から、?10年度診療報酬改定対策、?最近の審査状況、?08年度審査に関するアンケート調査結果、?審査委員及び協会役員の改選のお願い、?社会保険研究会、診療内容向上会の開催―について話題提供し、各専門医会から意見・要望を伺った。

診療報酬問題など多くの意見があった専門医会長との懇談会

不合理な算定制限は撤廃・改善を

 各専門医会からは、診療報酬に係る問題点について、外科領域における鏡視下手術が増えているが、それに伴い保険請求のルール整備が必要である。産科医不足、NICU不足、特に新生児科、小児科医不足、新生児を取り扱う施設不足等、産科医療を取り巻く現状打開のために手厚い診療報酬を求めたい。100?2未満の皮膚科軟膏処置の基本診療料への包括化を撤廃したい。内視鏡におけるフィルム代の保険請求は原則認められていないが、使用しても請求機会がないのは不合理である。90日の長期投与等、超長期投与の場合は、診療報酬上の評価が欲しい。リハビリテーションは、急性期医療と慢性期(維持期)医療が完全に区分され、急性期は医療保険、慢性期は介護保険に移行されるというが、高齢者が介護保険に集中し介護保険に係る費用が膨れ上がる。制度としてうまくいくのか疑問がある。透析は診療報酬の包括化が進んでおり、次回改定では全て包括化されるのではと危惧している。この問題は透析のみならず、全ての分野に波及するのではないか。

 医療材料等の問題では、手術の材料料は、手術料よりもはるかに高額のものもあり、手術の手技料の評価と材料料の内外価格差の是正が必要。在宅療養で使用する医療機器も高額なものが多く、価格是正も必要である、との意見が出された。

オンライン請求の先の問題も注視

 レセプトオンライン請求義務化について、問題は将来的に傷病名と診療行為のリンク付けによって、傷病名に対し適応のない薬剤を投薬したレセプトがすぐに抽出できるようになることである。適応のない薬剤を投与した場合は、減点されるのではないか。現時点でも同様の減点が増えており、今後は傷病名と薬剤の適応のリンクはレセコンを使わなければできない状況になり、否応なしにコンピュータの導入を迫られる。手書きでレセプトを作成している医師は辞めざるを得ないのではないかと危惧を抱いている。

 また、はしか等のワクチンの予防接種の徹底、新規ワクチン導入時の迅速な公費負担制度の導入で、必要な予防接種が誰でも受けられるようにして欲しい。整形外科領域における柔道整復、あん摩・マッサージ等の施療に係る療養費同意書の問題を打開するため、協力をお願いしたい。

 その他、専門医会からの協会理事の推薦、審査委員の任期等について意見・要望が出された。

次回改定は10%引き上げを要求

 協会からは、10年の診療報酬改定に向けて、保団連は少なくとも10%以上の診療報酬の引き上げを要求している。本日の専門医会からの要望は、協会や保団連としてあらためて要望したい。根本的問題として、診療報酬全体のアップを図らなければ解決しない問題も多々あり、その点も要求に組み入れて、少しでも実現するよう運動していきたい。

 レセプトオンライン請求に伴う傷病名と診療行為のリンク付けは問題と考えており、義務化撤回と併せて実施阻止に向けた運動を強めたい。

 柔道整復等の問題は、各方面から同様の意見が出されているが、解決方法に苦慮している。整形外科医会とも連携して改善を図りたい。理事の推薦について、どの専門科からも欠けることがないのが望ましく、保険医の権益擁護、協会の活性化にできる限りのご協力をお願いしたい―と述べた。
 

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