診療報酬の全体的な引き上げを/日医、新政権に提言  PDF

診療報酬の全体的な引き上げを/日医、新政権に提言

 日本医師会は10月14日、長妻昭厚生労働相など厚労政務三役あてに「日本医師会の提言―新政権に期待する」と題した提言書を提出した。診療報酬の「大幅かつ全体的な引き上げ」や、患者の外来一部負担割合の引き下げなどを訴える内容だ。会見で中川俊男常任理事が明らかにした。

 提言書では、過去の診療報酬引き下げにより「医療機関の経営健全性は大きく損なわれた。その結果、安全で質の高い医療の提供が難しくなった」と指摘。産科・小児科・救急医療の充実、勤務医の過重労働緩和は「最優先課題」としつつ、「医療は病院と診療所の連携の下、切れ目なく提供されなければならない」とし、地域医療全体の底上げの必要性を訴えている。具体的な改定率については盛り込まず、中川常任理事は「われわれから言うべきではない。できるだけ多く」と述べた。

 患者の一部負担については、フランスやドイツなどと比べて高く受診抑制が生じているとし、義務教育就学修了までの期間は無料、修了後からの現役世代は2割負担、70歳以上は一律1割負担とするよう提言している。提言を実行した場合、追加で必要になる給付費は約1兆円、受診率による影響を考慮した場合は約1.8兆円になるとの推計も示し、保険料引き上げではなく公費での対応を求めている。中川常任理事は「緊急的な措置として2010年度の対応を求めたい。その上で恒久的になることを望む」とした。

 このほか、医師数については「中長期的に現状の約1.1−1.2倍にすることが妥当」とし、財源確保や医学部教育から臨床研修制度までの一貫した教育制度の確立が前提とした。

 民主党がマニフェストで廃止をうたっている後期高齢者医療制度について、医療費の9割を公費で保障する制度への転換をあらためて主張。外来管理加算の「5分ルール」撤廃やレセプトオンライン化の柔軟な対応なども盛り込んでいる。(10/15MEDIFAXより)

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