訪問看護ステーション、人員不足が課題/日医総研WP  PDF

訪問看護ステーション、人員不足が課題/日医総研WP

 日医総研が訪問看護ステーションを対象に実施した調査で、24時間体制や緊急対応に関する加算を届け出ていない事業所の9割近くが、人員不足を理由に挙げていることが分かった。加算を届け出ている事業所でも、24時間体制の構築のために看護職員を増員した事業者は12.6%にとどまり、7割以上は増員をせずローテーションづくりに取り組んでいた。日医総研は調査結果を「在宅医療の提供と連携に関する実態調査」と題してワーキングペーパー(WP)にまとめた。「訪問看護ステーションの多くが人材不足という課題を抱えていた」との見解を示している。

 訪問看護ステーションの活動状況や主治医などとの連携状況に関して2008年9月の状況を調べるため、2693事業所にアンケート票を郵送し、1098事業所から有効回答があった(回答率40.8%)。

 「24時間連絡体制加算」「24時間対応体制加算」「緊急時訪問看護加算」のいずれも届け出ていない108事業所のうち、理由(複数回答)に「人員不足」を挙げたのは87.0%で、「同一法人内に往診や在宅医療を行う機関がない」(13.0%)、「他に24時間対応可能なステーションがあり必要ない」(8.3%)など、ほかの理由と比べ圧倒的に多かった。3加算のいずれかを届け出ている事業所の74.7%は、看護職員は増員せずローテーションにより24時間体制を構築していた。WPは「特に東京都特別区をはじめとする大都市圏で、より(人員不足が)深刻な状況となっている」としている。

 WPではこのほか主治医との連携も課題に挙げた。調査では主治医との連携不足を訴える意見が18.8%あり、特に主治医が病院の医師の場合、直接連絡が取れないことが多かったり、知らないうちに主治医が変わっていたりするなどの意見があった。病院の医師そのものではなく、窓口がないなど連携のシステムに問題があるとの指摘も多かった。

 08年度診療報酬改定で新設された「在宅患者緊急時等カンファレンス料」について、算定した事業所からは、医療従事者間でカンファレンスを開催することによってケアの質向上に結び付くなど一定の効果があったとの意見が上がった。ただ、WPは、多忙なためカンファレンスの開催ができない事業所もあるなど課題が残るとした。(5/15MEDIFAXより)

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