西陣・上東・北医師会と懇談  PDF

西陣・上東・北医師会と懇談

10月27日 京都府保険医協会会議室
受診時定額負担の問題で意見交換

 協会は10月27日、西陣・上京東部・京都北医師会との懇談会を開催。地区から16人、協会から6人が出席し、西陣医師会・林鐘声副会長の司会で進められた。西陣医師会・杉山イタル会長は、「近年日増しに一人では対処できないような難問が続出し、昔に比べ医師の裁量権が縮小されているように感じる。医療に対する無知、誤解に対して医療側から正しい発信をすることは大切であり、保険医協会の仕事の重要な部分であると感じている。協会と3地区医師会との文字通り打ち解けて話す場としたい」と挨拶を行った。続いて協会から関理事長挨拶の後、「社会保障・税の一体改革成案」「2012年診療報酬・介護報酬同時改定を巡る動き」について解説した。

 意見交換では地区より、「高額療養費の軽減という大きな餌を与えておいて、財源がないために定額負担を導入するのは卑怯という意見が出ているが、協会は財源として何を考え、どうしていけば良いと考えているのか」との質問が出された。協会からは、「窓口負担のアップには反対であり、所得制限の上限を上げ、保険料徴収を増やすべきだ。消費税については、まだ協会として一致した見解を出せていない。受診時定額負担については、年間の歯科を含む外来の受診日数が20億日(実日数)×100円=2000億円に加え、患者の受診抑制による長瀬効果の2000億で計4000億円の医療費削減と政府は計算済みであり問題である。一体改革は、高度急性期病院と介護が重点的に記載され、開業医および診療所の役割が曖昧で見えない。中医協論議を見ると、国は大病院の外来患者数の半分を診療所へシフトさせようと真剣に考えている。病院の外来収入減を担保するシステムができれば、両方がうまくいくので注目している」と回答した。

 次に、12年の同時改定を巡る動きに関しては、地区より「前改定の大病院志向がそのまま踏襲されるのか。開業医の再診料や地域医療貢献加算はどうなるのか」との質問が出された。協会からは、「今改定は在宅医療と介護への流れになっている。地域医療貢献加算が、来年4月に継続実施されるかは検討中だ。中医協の検討では、再診料、外来管理加算については積極的に手をつける声は聞こえない。外来管理加算は、丁寧な問診やカルテ記載の要件によって算定抑制が効いているので、このままの状態でいくようだ。しかし、前回の二の舞とならぬよう、予断を許さず動向を注視したい」と回答した。

 また地区からは、「中小病院に関しては、献身的な医療がギリギリのところで成り立っているが、マスコミにはあまり取り上げられない。スポットを当てられるのは、大病院と在宅の両極端で、中間的なところが日本の医療を支えていることが知られていない。マスコミ、府医、協会には、国民への分かり易いしくみや方向性のアピールの方法を考えてもらいたい」との要望が出された。

 その他、医療に対するゼロ税率やジェネリックの推進、施設事故に対する協会処理室会の対応、たばこ税について活発な意見交換が行われた。

 最後に、京都北医師会・加藤賀千雄会長は閉会挨拶の中で、懇談会での意見交換を受け、「直接地域でお世話になっている中小病院の献身的な働きやそのコストに対する評価についてはあまり広報されておらず、地区医師会や協会の役割ではないかと反省した」と述べた。

 なお、懇談会終了後の「『指導』情報交換会」には、地区より12人の参加があった。

ページの先頭へ