被保険者の応能負担による財政調整を/高齢者医療見直し検討会で権丈氏ら  PDF

被保険者の応能負担による財政調整を/
高齢者医療見直し検討会で権丈氏ら

 厚生労働省の「高齢者医療制度に関する検討会」は12月4日、高齢者医療に対する保険者間の財政調整の在り方について議論した。委員からは、高齢者医療に関する被用者保険の被保険者負担について、被保険者の報酬に応じて徴収する仕組みなどを訴える意見が出た。

 権丈善一委員(慶応大教授) は、前期高齢者医療に関して行われている財政調整の仕組みを75歳以上にも拡大すべきと主張。現在の組合健保と協会けんぽを合わせた前期高齢者に対する給付金と納付金の合計が保険料率換算で1.7%であり、この方式を75歳以上に拡大した場合には後期高齢者医療制度の公費負担分を除くと4.8%、公費負担分を入れると3.3%になるとの試算を示した。その上で現行の保険料徴収は被保険者の「頭割り」となっていることを問題視し、「報酬に応じた保険料負担にした財政調整を進めてもよいのでは」と述べた。

 財政調整の整合性を図るため、現役並み所得のある高齢者の自己負担を1割にすることも主張し、「現役世代はいずれ高齢者になる。この制度を約束してくれる限り、現役世代から見れば負担が増えることも受け入れられるのではないか」と述べた。

 この日の検討会では、市町村ごとに国保税や介護保険料に差を付けながら広域連合で運用している高知、福岡両県の担当者から意見を聞いた。舛添要一厚生労働相は「最終的には保険料を都道府県単位で1本にすべきだと思う」と述べた。ただ、「市町村によって国保税の保険料率はまちまちになっており、経過措置が必要。これからの制度設計で柔軟に対応すべきだろう」とした。(12/5MEDIFAXより)

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