自由詩コーナー

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谷口 謙 選

 山の大木

門林岩雄

村のはずれに
小さな社(やしろ)
そのまだ奥に
道はつづく
山に入ると
大きな木
トリモチの木
太い幹
盛り上がった根
空覆う梢
飽かずながめる
しかしこの道
ゆく人少なく
気づくもの
ごくわずか
それでも木は立つ
堂々と立つ

 絆

加藤善郎

絆が切れる絆が消える
両親も親戚の人々も
そして学校の友世間の友
良かったなあ あの絆
出来るなら天駆けて戻したい
でも 天上のあの世とやらは…
そんなとき 聞こえてくる声
わすれちゃいかんよ
君を見つめている新しい絆
そのうちに
大きくなってくるだろうよ

 星座図鑑(71)コンパス座

m.

A地点から
C地点へ‥
どこへ移っても同じ距離
同じ線
さあ
地球を飛び出してみてみよう
そして
そこから 青い地球をみてみよう
そこに見えるのは

 これは あれはと花の名を聞く人ぞ

名を知らぬ花なれど 愛でて
心和ますものならば 名は無くとも
良いかもしれぬと思う 今日この頃

 桃源郷というのは/地上のどこかにある 不思議な郷(くに)ではなくて/じつはその やさしい気持 のことであろう/桃の花を見て/やさしい気持になって その気持で/また 桃の花を見る(山尾三省)。

 中原道夫氏は言う。桃の木にとって開花は自己の展開であると。詩を書くことが己れの花の展開であれば何と嬉しいことでしょう。今号で初めて京氏の投稿詩を得、その一節を掲載させていただきました。どうかご健筆を。

<応募要領>◇字数:原稿用紙1〜1枚半◇未発表のもの。応募作品は返却しません◇住所、氏名、電話番号明記。ただし作品はペンネームで結構です◇送り先:協会保険医新聞担当◇毎月20日締切◇第1席入選者には図書カード贈呈◇作品の発表にあたり選者が添削する場合があります。あらかじめご了承下さい。

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