臓器移植法改正A案が成立/15歳未満も移植可能に  PDF

臓器移植法改正A案が成立/15歳未満も移植可能に

 「脳死は人の死」を前提にしている臓器移植改正法案(いわゆるA案)が7月13日の参院本会議で、賛成多数で可決・成立した。投票総数は220票で、賛成138票、反対82票だった。A案の成立により、15歳未満の臓器提供も国内で可能となる。参院ではA案のほか、臓器移植のときに限って脳死を人の死とする修正A案と、「子ども脳死臨調」の設置を求めるE案が審議されていた。修正A案は同日の本会議で、反対多数で否決。E案はA案が可決したため、採決は行われなかった。

 中山太郎衆院議員らが2006年に提出したA案は、脳死者の定義に関して、現行法から「その身体から移植術に使用されるための臓器が摘出される者であって」との文言を削除した。削除の理由については「脳死は人の死ということについて、おおむね国民的合意は得られているため」とし、A案の脳死者の定義について理解を求めていた。

 臓器を摘出するために必要な意思確認に関してA案は、本人意思が不明な場合は家族の同意で可能と明記。臓器提供可能年齢については、現行の「15歳以上」から「年齢制限なし」に緩和した。現行法の下では伸び悩んでいる脳死者からの臓器移植症例を増やすのが狙いだ。

 日本医学会や日本移植学会などは、移植機会を増やす可能性のあるA案を支持する立場を表明。臓器移植を受けた患者ら5団体でつくる臓器移植患者団体連絡会も、A案成立を望む声明を発表していた。一方、日本弁護士連合会や全国交通事故遺族の会などは、ドナー側への配慮がないとしA案成立に反対の立場を明らかにしていた。(7/14MEDIFAXより)

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