老健など施設整備に3000億円/介護分野の経済危機対策  PDF

老健など施設整備に3000億円/介護分野の経済危機対策

 政府・与党が4月10日に発表した経済危機対策では、介護拠点の緊急整備として特別養護老人ホームや老健施設などの施設整備助成金の拡充に約3000億円を投じる。定員29人以下の小規模施設については市町村交付金を増額し、定員30人以上の大規模施設は地方財政措置を拡充する。これにより第4期介護保険事業計画上の増床分12万床に加えて、約4万床を増やす見通しだ。厚生労働省は2009年度補正予算案が成立し次第、緊急整備に着手する。政府・与党はこれら介護分野の経済対策で、今後3年間で介護人材約30万人の雇用創出を目指す。

 助成対象となるのは▽特別養護老人ホーム▽老人保健施設▽ケアハウス▽認知症高齢者グループホーム▽小規模多機能型居宅介護事業所。小規模施設に助成する市町村交付金は09年度補正予算で対応する。現在1床当たり200万円の単価を150万円程度上げる見通し。このほか開設等経費として1床当たり60万円程度を充てる見通しだ。

 大規模施設対象の地方財政措置は、1床当たり225万円から、各都道府県の実事業費に応じた引き上げを図る。大規模施設についても開設等経費を設ける。

 介護職員の賃金を月額1万5000円相当上乗せする「介護職員処遇改善交付金(仮称)」は3年間で約4000億円を充てる。厚労省老健局は「あくまで当面3年間の緊急経済対策として行うが、その後の対応については今後検討する」としている。

 助成対象となる介護事業所には、介護報酬総額に各サービスごとの交付率を乗じた額が交付される。申請するためには、交付金を受けることによって見込まれる賃金引き上げ額を上回る処遇改善計画を提出しなければならない。交付金は09年10月サービス分から実施し、申請する事業者はそれ以前に処遇改善計画を提出することになる。

 10年度から交付の要件に加わる「キャリアパスに関する要件」について厚労省は「ある程度の経験や資格の上で管理職に到達するなど、キャリアアップのプロセスを示すことが想定される」としている。要件を満たさない事業所は10年度から交付率が下がる。

 このほか、雇用保険の受給資格のない離職者らを対象に社会福祉施設などで行う職業訓練については、6カ月−1年程度で1人当たり約10万円の奨励金を想定している。(4/13MEDIFAXより)

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