社保研レポート

社保研レポート/他科の疾患を興味深くきく

第632回(1/21)「他科のための皮膚科疾患について」
京都市立病院皮膚科部長 小西啓介氏
「他科のための耳鼻咽喉科疾患について」
西山耳鼻咽喉科医院 西山康之氏

社会保険研究会のもよう
社会保険研究会のもよう

 長い勤務医生活の後、開業して1年8カ月になります。今施行されているようなスーパーローテートの制度はなく、眼科入局した出発点から、ずっと眼科のみに向き合ってきました。小さなカメラである眼球ばかり追っかけて、患者さんが見えるようになるかどうかを最終目的に頑張ってきました。もちろん糖尿病や高血圧症などの全身疾患の多くとも、深い関係がありますが、どうしても眼のことばかりに走ってしまい、他科に関する疾患には、目を向けにくくおろそかになってしまいがちです。勤務医時代には、一時期、形成外科を教えていただく機会もありましたが、ほとんどは外科など、他科の手術を横から見学する程度でした。開業してからは他の多くの疾患にも目を向けるようになり、“他科のための皮膚科疾患・耳鼻咽喉科疾患について”は、本当にありがたく興味を持って参加しました。

 小西啓介先生の皮膚科のお話では、授業のように系統立てて、細菌感染症として、伝染性膿痴疹、乳幼児のブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群、多汗症で見られるPitted keratolysis、糖尿病に見られる壊死性筋膜炎、死亡率の高いガス壊疽、急激な発症の劇症型A群レンサ球菌感染症など、真菌感染症として、ペットやボディタッチによる白癬、熱帯系で見られる黒癬、皮膚粘膜カンジダ症、皮膚クリプトコッカス、その他には、ウイルス感染症、梅毒、HCV感染などの性感染症についても、それぞれの疾患の大切なポイントを中心に幅広くやさしく説明していただきました。

 また、後半の西山康之先生の耳鼻咽喉科のお話では、最近の外来での使用機器の紹介や、めまい、突発性難聴、アレルギー性鼻炎、嗄声や、またどのような時にすぐに紹介が必要かなど、他科からのよくある質問に答えるような形で、症例を出して、悪性腫瘍と喫煙や飲酒との関連も含め、わかりやすく解説してくださいました。内視鏡による鼻道内部の観察などを動画にて拝見し、ますます興味が深まりました。

 これからも、このような研究会に期待いたします。

(上京東部・草田英嗣)

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