社保研レポート 循環器疾患診療の留意点を解説  PDF

社保研レポート 循環器疾患診療の留意点を解説

第635回(7/10)「循環器疾患の保険診療」
講師:京都府社会保険診療報酬支払基金審査委員、
勝目医院院長 勝目 紘氏

 7月10日、勝目先生のお話を聞きました。どうしたことか循環器不得手の私に、要旨のまとめを依頼されました。お話は心不全に始まり虚血性心疾患、肺血栓塞栓症、不整脈、高血圧と多岐にわたり、随時保険診療の留意点に触れられました。

 ○循環器疾患の治療はEBMに基づいて、Tailor made medicineを行うべき。

 ○慢性心不全 旧来の治療薬(利尿薬、β遮断薬、抗アルドステロン薬、ジギタリス及び強心薬)に加えてACE阻害薬、ARBが使用されるが心不全に適応のあるものは限られているので注意が必要。非薬物療法は各種あるが、心臓両室同期療法(両室ペーシング)は確立されたものと。BNPの検査はEDTAなしでは30分で変化。ProBNPが安定。検査した日の記入が必要。

 ○虚血性心疾患 薬物療法か冠動脈インターベンション(PCI)。安定狭心症患者では、十分な薬物療法により治療を開始。心筋虚血が進めばPCIやバイパス手術が必要となる。PCIを先行した方が良い例もあり、いずれにしても管理と判断が必要。冠動脈造影CTが開発されて、直接的冠動脈造影検査に迫る検査になってきた。胸痛患者のTriple rule outにも有効な検査。

 ○心房細動 心源性脳梗塞の最大原因。非弁膜症性心房細動塞栓症の予測にはCHADSスコアが用いられる。心不全(C)1点、高血圧(H)1点、75歳以上(A)1点、糖尿病(D)1点、脳梗塞(S)2点。0点低リスク、1〜2点中リスク、3点以上は高リスクで易血栓が高くなる。2点からワルファリン療法開始。1点は考慮。リズムコントロールとレートコントロールのいずれかの予後がいいかは論争が続いており、生命予後には大差がないとされていた。最近はカテーテルアブレーションの普及、技術の進歩により、除細動に成功率は年々高まっている。

 約2時間のお話で、内容幅広く、紙面の都合もあり、私の裁量で報告は以上とさせていただきます。不十分ご容赦下さい。

(宇治久世・服部 宏)

講演する勝目紘氏
講演する勝目紘氏

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