社会保障基本法/“実現ネット”形成し研究会始動へ/シンポを機に新たな波

社会保障基本法/“実現ネット”形成し研究会始動へ/シンポを機に新たな波

検討会に出席した(左から)渡辺治、小川政亮、井上英夫、木下秀雄、二宮厚美の各氏

 「貧困をなくし、社会保障を守る『基本法』を考えるシンポジウム」開催を前に8月23日、協会が進める社会保障基本法立法化運動の今後のあり方や進め方について議論するための検討会を開催した。参加したのは、これまでの社会保障基本法研究会メンバーである伊藤周平(鹿児島大学教授)、後藤道夫(都留文科大学教授)、唐鎌直義(専修大学教授)、竹下義樹(つくし法律事務所・弁護士)の4氏に加えて、小川政亮(日本社会事業大学名誉教授)、井上英夫(金沢大学教授)、木下秀雄(大阪市立大学教授)、二宮厚美(神戸大学教授)、渡辺治(一橋大学教授)の各氏。京都協会からは垣田副理事長が出席した。

 はじめに基本法研究会メンバーから、これまでの経過と新しい動向について報告した。

 伊藤氏は、これまでの社会保障改革と社会保障裁判の歴史・課題を概観し、それを踏まえての基本法の意義・理念について説明。その上で、改革に対抗し、憲法25条に基づいた社会保障制度を再構築する上で社会保障基本法の必要性が、これを構想した時以上に高まっており、立法化運動を契機に、このような対案を構想する社会保障研究者のネットワーク作りが必要と報告。

 竹下氏からは、日本弁護士連合会が貧困問題を真正面に据えた、貧困と人権に関する委員会を設置し、社会保障マスタープラン(仮称)制定に向けた取り組みを開始していること。その中では社会保障基本法案の検討と提起を行うことが報告された。

 後藤氏からは、現在の基本法案が構想する新しい福祉国家像について、国や地方の行政のあり方、財源の議論、より具体的な生活保障体系の全体構想や個別課題の把握、現在の実定法との関係の精査などについて、研究者、関連する団体、各政党との検討や合意作りが不十分であると指摘。社会保障基本法案の検討・修正・完成と、福祉国家型の生活保障構想の研究・政策化、そして団体・政党を含んだ合意形成を同時に進めていく必要があるとの認識から、今後の方向として、法律家・研究者・実務家による基本法研究会、福祉国家構想研究を促進する研究会を立ち上げ、これらの研究会とともに検討・議論・普及を図る運動団体ネットワークの形成を提起した。

 これを受けた議論では、「これまでの社会保障理論を発展的に乗り越える作業が必要」「営利化という側面からも構造改革の議論を深めるべき」「理念の議論がもっと必要」「25条だけではなく憲法をもっと広くとらえるべき」など、多くの課題が提示されたものの「構造改革への対抗軸は作っていかなければならない」「全体像を見通すものは必要」「『25条実現ネット』のような新しいネットワーク作りが必要」との認識では一致。研究会についても、この日集まった全員を核に拡充し、単に法案の検討に留まらない基本法の研究会を始動させる方向を確認した。今後の取り組みの広げ方や基本方針、体制については、27日のシンポジウム終了後に再度集まり議論する。

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