眼科診療内容向上会レポート  PDF

眼科診療内容向上会レポート

眼科領域の改定点数と請求上の留意点を解説

 眼科診療内容向上会が4月18日、リーガロイヤルホテル京都で開催された。京都府眼科学校医会及び眼科医会の総会、学術講演会に続いて、京都府眼科医会と京都府保険医協会との共催で行われ、84人の眼科医が参加した。保険医協会の関理事長が挨拶で今回の診療報酬改定の特徴、問題点について触れた後、京都府眼科医会理事、京都府社会保険診療報酬支払基金審査委員の松田敏央先生が新点数の留意事項と最近の審査事情について講演された。

84人が参加した眼科診療内容向上会
84人が参加した眼科診療内容向上会

 主な内容は以下のとおりである。

 (1)明細書の発行が義務化され、届出によって明細書発行体制等加算の算定が可能となったが、届出及び加算の算定の有無にかかわらず明細書の発行は必要である。なお、初診時の電子化加算は算定できなくなった。

 (2)処方せんの様式が変更され、発行時には都道府県番号(2桁の番号)、点数表番号(医科は1)、医療機関コード(7桁の番号)の記入が必要になった。

 (3)外来管理加算の条件、いわゆる「5分間ルール」はなくなったが、投薬のみでは算定できない。

 (4)今まで一般的に使われてきた、汎網膜硝子体検査(両)と静的視野(両)は点数表に掲載されておらず、特に電子レセプトで請求している医療機関はともに(片)×2として請求する必要がある。

 (5)角膜内皮細胞顕微鏡検査においては、円錐角膜、水庖性角膜症も新たに算定可能な疾患として認められるようになった。

 (6)多局所網膜電位図が新たに算定可能となったが、適応や算定の頻度には制限があり注意を要する。

 (7)眼筋機能精密検査及び輻輳検査の対象となる検査に、プリズムを用いた遮蔽試験、Hess赤緑試験が追加された。

 (8)IOLマスター等の非接触型機器を用いて眼軸長を測定した場合に光学的眼軸長が新たに算定できるようになった。

 (9)硝子体内注射が加齢黄斑変性に対して新設された。

 (10)糖尿病網膜症の患者に対して指導を行った際には特定疾患療養管理料を月に2回まで算定できるが、カルテに管理内容を手書きで詳細に記載する必要がある。印鑑等による記載は認められない。

 (11)眼処置を算定できる処置として、マイボーム腺圧出、偽膜除去、結膜下嚢腫穿刺、無水晶体眼のコンタクト処置洗浄なども含まれた。ただし、算定する際には注記が必要である。

 (12)熱気罨法の適応疾患には、麦粒腫、霰粒腫、結膜下出血、眼瞼炎、角膜炎、角膜潰瘍、マイボーム氏腺炎、ぶどう膜炎があるが、眼精疲労と結膜炎に関しては算定できない。

 (13)細隙灯顕微鏡検査(前眼部及び後眼部)を算定する場合には、ミドリンP点眼液(0・6ml)の使用を併記あるいは、点眼液の量が少ない場合には、散瞳剤を使用した旨を注記する必要がある。

 以上、松田先生より説明がなされたが、質疑応答では「明細書は本当にすべての医院で発行されているのか」「明細書に記載された項目について質問があった場合、説明の義務はあるのか」といった質問があり、実際の現場では混乱している様子がうかがわれた。(伏見・弓削 堅志)

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