疾患別・術式別の死亡率を公開へ/胸部外科学会、個別病院の成績は公表せず  PDF

疾患別・術式別の死亡率を公開へ/
胸部外科学会、個別病院の成績は公表せず

 1986年から心臓外科(胸部大動脈手術を含む)、呼吸器外科、食道外科に関する症例数などを集積してきた日本胸部外科学会は11月21日、3領域の疾患別・術式別の死亡率を国民に公開する方針を発表した。田林晄一理事長(東北大教授) は「日本の胸部外科の手術成績の現状を、正しく認識していただきたいと考え、平均死亡率などを公表することにした」と述べ、同一疾患の手術でも緊急時と計画的手術では死亡率が異なることなどを、広く国民に情報開示していく考えだ。近日中にホームページで公開する予定。初回は2006年学術調査結果を掲載する。

 06年版の延べ1800医療機関の調査結果では、体外循環を用いた冠動脈バイパス手術では、計画的な手術で在院死亡率が1.7%に対して、緊急手術による在院死亡率は10.9%で、緊急手術のリスクが明らかに高い。30日以内死亡率も計画的手術では1.1%だが、緊急手術では8.2%となっている。

 さらに、胸部大動脈瘤では、急性期(上行大動脈)の在院死亡率12.9%に対して、慢性期の在院死亡率は5.4%で、急性期の病態での手術の死亡率が高い。ホームページにはこうした内容を公開する。

 手術成績については、いわゆる「ランキング本」が出回り、患者・家族が手術結果に対して過度の期待を寄せる傾向にあるが、同学会では、個別医療機関の手術成績の公表は予定していないとしている。(11/25MEDIFAXより)

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