現場から病院への搬送、10年前より6.5分長く/08年版消防白書  PDF

現場から病院への搬送、10年前より6.5分長く/08年版消防白書

 政府は12月16日の閣議で2008年版消防白書を了承した。白書によると、緊急性のある患者を搬送する際に救急隊が現場に到着する時間は、1997年の平均6.1分から07年は平均7.0分となり0.9分増に、現場から病院収容までにかかる時間は、97年の平均19.9分から07年は平均26.4分と6.5分長くなり、いずれも10年前より時間が延びていることが分かった。白書は「特に心肺機能停止状態の傷病者の発生など一刻を争う局面では、今後、地域によっては救急隊の到着が遅れる恐れがあり、深刻な問題となっている」と指摘している。

 07年の救急出動件数は全国で約529万件。少子高齢化社会の進展や住民意識の変化、核家族化などを背景とする救急需要の拡大により、97年からの10年間で約52%増加した。一方、全国の救急隊数は98年からの10年間で約8%の増加にとどまっている。

 救急相談事業について、白書は「救急自動車の出動を要請すべきかどうかについて、十分な医学的知識に基づく判断を市民に求めることは困難」と指摘。これまで消防機関は、医療機関の情報を提供するサービスは行ってきたものの、医学的判断に基づいた相談は行っていなかったとした。その上で、東京消防庁が07年6月に開設し、医師や看護師などが24時間365日体制で対応している「東京消防庁救急相談センター」(#7119) が大きな成果を挙げていると紹介。総務省消防庁は今後、消防と医療の連携をさらに進め、救急相談事業を推進していくとしている。(12/17MEDIFAXより)

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