温暖化で年30万人死亡/12兆円の経済損失と報告書  PDF

温暖化で年30万人死亡/12兆円の経済損失と報告書

 地球温暖化に関連した自然災害などによる死者が世界全体で毎年約30万人に上るとの報告書を、国連のアナン前事務総長が率いるシンクタンクが5月31日までに公表した。

 報告書は、温暖化によって世界の3億人超が深刻な影響を受け、経済的な損失は年約1250億ドル(約12兆円)と推定。2030年までに温暖化による死者が最大で年50万人に達し、経済的な損失は年3400億ドルに上る可能性があると指摘した。

 報告書を出したのは、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」のパチャウリ議長も理事を務める「グローバル・ヒューマニタリアン・フォーラム」(本部・ジュネーブ)。英紙ガーディアンによると、パチャウリ議長は報告書を「現時点では最も妥当性のある試算」と評価している。

 報告書は、有効な温暖化対策が取られなければ、温暖化によってもたらされる飢餓や健康被害の問題が拡大し、社会的、政治的安定への脅威になると強調。温暖化による自然災害の死者の99%が途上国に集中しているとし、途上国の被害緩和などに先進国が積極的に関与するよう求めた。【ロンドン5月31日共同】森林減少抑制で温室効果ガス削減/温暖化防止、国連報告書

 世界で進む森林減少の抑制や、農業のやり方の変更などで、地球温暖化をもたらす温室効果ガスの大幅な排出削減が可能になるとの報告を、国連環境計画(UNEP)が6月5日、気候変動枠組み条約の特別作業部会で公表した。

 報告書は、熱帯林が、推定で年間1480万ヘクタール失われるなどした結果、大気中に放出される温室効果ガスの量は、世界の総排出量の約20%を占めると指摘。今のペースで熱帯林破壊が続けば、2100年までに、さらに870億−1300億トン(炭素換算)が排出される恐れがあるとした。【ボン6月5日共同】

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