次期改定は「プラス」、新国民会議の創設も/自民マニフェスト案  PDF

次期改定は「プラス」、新国民会議の創設も/自民マニフェスト案

 自民党が次期総選挙で掲げる政権公約(マニフェスト)のうち、社会保障関係の原案が明らかになった。社会保障制度を国民の立場に立って検討する場として「社会保障制度改革国民会議(仮称)」を創設することなどが柱。2010年度に控える診療報酬改定については「プラス改定」を宣言する方向で詰めの作業を進めている。最終的なマニフェストについては、加筆・修正を経て公表されることになる。

 マニフェストでは社会保障制度について、少子高齢化が進展する中で、暮らしの安心を支えるセーフティーネットとしての機能を果たし、将来にわたり安心・信頼できるものとなるよう一体的見直しの検討を進めるとの見方を表明。社会保障制度を真の国民の立場に立って検討する場として「社会保障制度改革国民会議(仮称)」を設置するための法整備に着手する考えを盛り込む。

 医療については「国民の生命・健康を守る安心の基盤」と位置付け、必要なときに救急・産科医療を受けられる体制をつくると宣言。救急医療や産科、小児科、へき地医療の担い手である勤務医を確保するとした。医師確保対策に向けては、医師数を増やす流れを維持。補正予算を通じ、地域医療の再生や災害に強い病院づくりも進める。

 10年度の診療報酬改定については、救急や産科など地域医療を確保する上でも「プラス改定を行う」と明記する方向だ。レセプトオンライン化については、地域医療の崩壊につながらないよう配慮し、さまざまな例外措置の扱いを弾力的に検討していく構えだ。

 後期高齢者医療制度については、高齢者の心情に配慮するよう見直す。強い批判を浴びていた「後期」という文言は用いない。制度の内容については、75歳超のサラリーマンが現役の制度に加入し続けられるようにするなど、年齢のみの区分を改める。低所得者対策としては、保険料の9割軽減措置を継続するとともに、外来の患者負担の月額上限を半減する。高齢者の保険料負担が大きくなり過ぎないように、公費負担の拡大に取り組む方向でも検討を進める。

 新型インフルエンザについては、秋から冬にかけて流行の可能性があることから対策を徹底する。具体的な対策として、重症化の恐れのある患者や医療従事者の感染防止を強化するほか、重症患者に対する医療提供体制の確保を図る。さらに、新型インフルエンザワクチンの速やかな製造と公費助成による接種体制の整備も盛り込んだ。このほか、感染拡大やウイルスの性状変化を探知するサーベイランスの実施も約束する。

 また、健康づくり対策にも全力を注ぐとも宣言した。肝炎については、早期発見・早期治療・治療水準の向上を図るため「肝炎対策基本法」を制定し、B・C型肝炎への医療費助成の拡大・充実を含めた総合的対策に取り組む。死因の第1位になっているがんについては、放射線療法や化学療法、緩和ケアなどの充実を図るほか、難病については、研究拡充を図る構えだ。

 介護保険制度については、今後3年間で特養、老健、グループホームの約16万人分の整備を目標に取り組む。介護職員の研修やキャリアアップの支援、職場環境の改善にも着手する。介護職員の処遇改善に努める事業主に対し、職員の給与月1万5000円(1人当たり平均)の引き上げに相当する金額を09年度の補正予算で助成することにも触れ、専門性と職務の重要性に応じた賃金体系の普及・定着を目指すとした。(7/7MEDIFAXより)

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