文化講座でイスラームを知る

文化講座でイスラームを知る

 京都府保険医協会は3月15日、第5回文化講座「イスラームの教えと社会」を京都市国際交流協会で開催、17人が参加した。講師はイスラーム文化センター代表ギュレチ・セリム・ユジェル氏。

セリム氏の講演を聞く参加者

参加記 異文化への関心新たに

 「イスラム(正しくはイスラーム)―その教えと社会―」は、最近ますます国際色豊となった京都市国際交流会館にて催された。講師はトルコで生まれ、トルコ大使館にも勤めた経験があり、今は多数の大学でも講義を持ち、現在は京都で大学の講義をされ、大変お忙しいイスラーム文化センター代表ギュレチ・セリム・ユジェル氏。自己紹介では、子どもさんを日本の中学校に通わせており、本来行政学を専門に勉強していたが、いつの間にか宗教学を専門にするようになった、とのことである。

 イスラム語での挨拶「アッサラーム・アライクム(あなたの上に平安がありますように)」とその返事「ワ・アライクムッサラーム(そしてあなたの上にも平安を)」から始まり、イスラーム文化、イスラーム語圏(地球上に14億人が居住)の話があり、人口減少の日本と比べてうらやましく思った。一神教であるイスラーム教は、最後の預言者ムハンマドの伝えた原点の教義を真摯に守り続けており、イスラーム教以外の宗教は、いってみればウイルスに感染した教義が伝えられて信仰されていると、一神教独特の強さを見せられたのには興味を持った。

 信仰の条件となるのは、『6信』と「5行為」にあるとされ、前者の代表は創造主アッラーの存在を認めること、後者の代表は1日5回の礼拝を行うことなどで、善行について強調されているのが、撒き散らす風章19節の「あなた達の財産には乞う者たちと窮乏する者たちの権利が含まれている」:具体的には喜捨にある。同じ額が一定以上手元に残るなら、その一部40分の1を個人が個人に与えることが原則となっている。『6信』『5行』は自己責任を求めるもので、ある意味、医者と患者との関係にも少々似ているとのお話には、今の日本の医療環境の中で、なにかにつけ悩まされている我々にはうなずけるものがあった。

 さらに現在、在日のムスリム(イスラーム教信者)は10万人に達し、2万人が日本人信者であるとのことにも驚きであったし、それほど私はイスラームのことを知らなかったのだ。あらためて異文化のへの関心を持つことの大切さを知った。

(宇治久世・木村敏之)
 

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