改訂版 医療安全対策の常識と工夫(6)  PDF

改訂版 医療安全対策の常識と工夫(6)

調停を申し立てられたら

 調停申立書が医療機関に送られてきたら、慌てずに、そこに書かれている内容をゆっくりと熟読して下さい。申立書は通常、弁護士が作成するのですが、患者さん側の言い分のみが記載されており、必ずしも客観的な事実に基づいた記述とは限りません。

 申立書の内容を確認した後は、直ちに京都府保険医協会へ連絡することはもちろんのこと、反論可能な場合にはメモの形で結構ですから、一つずつ患者さんの言い分を箇条書きに抜き出して、その横に反論を書き留めておいて下さい。また、反論は可能な限り文献等、客観的なデータが引用できるようにしておいて下さい。「何故、そのような面倒なことを、そこまでしなくても…」と言う方もおられるでしょうが、最初の合理的な対応が、次の段階へ進むときに大きく影響するのです。

 申立書の内容がナンセンスだからと言って軽視したり、逆に、反論が困難なので諦めて何もしない、という態度は決して賢明ではありません。調停申立書は証拠保全申立書と違い、明らかに患者さん側が医療機関に対して責任を追及しています。その違いを明確に区別していただきたいと思います。

 当然ながら、逆に心配し過ぎるというのも、医師としての判断さえ狂わせかねないことにもなりますので、常に冷静さを失わないことが肝要です。

 次回は、訴訟についてお話しします。

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