改定版 医療安全対策の常識と工夫(2)

改定版 医療安全対策の常識と工夫(2)

ご存知ですか? 医事紛争に至ってしまう幾つかのパターン

 患者さん側が医療機関側に何ら直接のアクションを起こさずに、いきなり弁護士から申入書が送られてきたり、裁判所から証拠保全申立書が送付されてくることがありますが、これは、全体から見れば例外と言えなくもありません。最も一般的なのは患者さん、あるいはその血縁者などが直接クレームを言ってくる場合です。

 そうした場合、医療機関側の説明に納得すれば、紛争にまで発展しないことも考えられますが、納得してもしなくても、医療機関側の「誠意」を求めてくることがあります。また、納得しなかった場合には、医療機関側の責任を追及したり、弁護士を立てたり、もしくは裁判所に「証拠保全」「調停」「訴訟」の何れかを申し立てることになります。患者側が弁護士を立てたときは、大抵の場合は医療機関側も弁護士を用意することが必要になってきます。何故ならば、患者側に弁護士が介入してくると、必ずしも医学的な根拠だけで話が終始しなくなるのが現状だからです。

 しかしながら、医事紛争と呼ばれるものの多くは、弁護士を介入させ司法の判断に委ねるまでもなく、当事者間での話し合いによる解決も十分可能であると思われます。それはまた、経済的負担や、結果的には労力の軽減にもつながります。従って、先にも述べたように、患者さんが何か不安・不平を表明したときには、誠意を持って対応することが肝要です。

 次回は、証拠保全申立についてお話しします。

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