改定の基本方針策定へ議論本格化/社保審・医療保険部会  PDF

改定の基本方針策定へ議論本格化/社保審・医療保険部会

 厚生労働省の社会保障審議会・医療保険部会(部会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)は9月16日、2012年度診療報酬改定の基本方針策定に向けて具体的な検討を始めた。10年度診療報酬改定の基本方針に盛り込んだ4つの視点を踏襲しつつ、社会保障・税一体改革成案や、東日本大震災の影響を踏まえて内容を詰めていく。医療部会と並行して基本方針策定に向けた検討を進め、11月の取りまとめを目指す。

 10年度診療報酬改定では、充実が必要な分野に対する適切な評価や、効率化の余地がある領域の適正化など大きく4つの「視点」を基本方針に盛り込んだ。厚労省は、12年度改定でもこれらの4つの「視点」を引き継ぐことを提案。さらに、6年に1度の診療報酬・介護報酬同時改定であることを踏まえ、医療・介護の機能分化と地域での連携体制構築に向けた評価の在り方や、社会保障・税一体改革成案で示された病院・病床機能分化や在宅医療の充実なども考慮する必要性を指摘した。東日本大震災の影響を踏まえ、災害に強い医療提供体制を構築するための評価の在り方や、被災医療機関への診療報酬上の対応についても基本方針に位置付けるべきかどうか議論を求めた。

 厚労省が提示した項目の例は▽高度急性期、急性期などの病院機能に合わせた入院医療の評価▽慢性期入院医療の適正な評価▽急性期の精神疾患に対する医療の適切な評価▽今後の災害対策の充実を促進するための評価の在り方―など。

 東日本大震災の被災地支援策をめぐっては、被災地特例加算の創設が中医協で俎上に載っている。ただ、岩本康志委員(東京大大学院経済学研究科教授)は「補助金でしっかり対応すれば、診療報酬改定を絡ませることは逆に複雑になるだけ」と指摘。一方、逢見直人委員(連合副事務局長)は「施設などインフラに関わる基盤整備や医療人材の確保は基本的に公費で対応するべき。医療機関の経常的な経費は診療報酬で賄うべき」と述べた。

 効率化の視点をめぐっては、白川修二委員(健保連専務理事)が「後発医薬品の使用促進くらいしか挙がらないことが非常に残念」と指摘した上で、番号制度の議論が進んでいることに言及し「番号を使ったネットワーク化もぜひ考え方の中に入れておいてほしい」と述べた。

 鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は、地域包括ケアシステムの構築に向けて亜急性期、慢性期、在宅医療などを拡充する必要性を強調した。

 同部会では基本方針の策定に向けて今後2回程度、議論を重ね、重点課題や内容を詰めていく予定。(9/20MEDIFAXより)

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