急性期病院における療養病床削減に関する影響調査

急性期病院における療養病床削減に関する影響調査

一般病床への新規受入に影響あり

 保団連は2008年10月〜11月にかけて、全国の急性期病院(一般病床を持つ病院)を対象に表記調査を実施、京都協会も協力した。全国の結果については、「全国保険医新聞」(08年12月15日)で報告済みであるが、京都府における調査結果について、概要を以下に報告する。

 京都での対象は141病院。08年11月22日までに30病院からの回答を得た。回収率は21%であった。

 調査の中で、現在の慢性期の受け入れ先充足について尋ねている。「問題なし」と回答した病院が1件(3%)、「何とか確保している」と回答した病院が8件(27%)であった。これに対して「不足している」と回答した病院は18件(60%)と、半数を超え、急性期を脱して後の受け入れ先が、現状においても不足している実態が改めて明らかとなっている。(図1)

図1 慢性期の受け入れ先は充足しているか

 療養病床の転換先の目玉として08年5月、介護報酬に新設された「介護療養型老人保健施設」だが、急性期後の患者の受け入れ先としての適否を尋ねた。「受け入れ先として適当(問題なし)」と回答したのはわずか3件(10%)にとどまった。条件付(急変時の対応の可否による)で適当と答えたのが12件(40%)であった。不適であると答えたのも12件(40%)あり、受け入れ先としては不安を抱えた施設であるという考えが多いことがわかった。(図2)

図2 「介護療養型老健」は受け入れ先としてどうか

 また、療養病床が廃止、削減されることで、一般病床への影響が考えられるかどうか尋ねた。「問題ない」と答えたのはわずか3件(10%)であったのに対して、「新規入院患者を受け入れにくくなる等影響が考えられる」と回答したのが25件と、全体の83%に達した。(図3)

図3 療養病床の廃止・削減で一般病床への影響は

 介護療養型老人保健施設が新設されたものの、「病院」と同様の期待ができるかは疑問。療養病床が廃止、削減されることで、現状でも急性期後を受け入れるという役割の担い手が不足しているにも関わらず、さらに拍車をかけ、一般病棟内に転院の待機者が発生、救急患者等、一般病床への新規患者の受け入れにも影響しかねない、と現場担当者が危惧している実態が浮き彫りとなった。

 療養病床の廃止、削減で、疾患の発症率が抑制されるわけでは決してなく、その影響が「急性期」にも影響することを、厚生労働省は受け止め、療養病床の廃止、削減政策を再考すべきであると考えられた。

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