府後期高齢者医療協議会開かれる

府後期高齢者医療協議会開かれる

資格証運用の考え方(案)を示す

 京都府後期高齢者医療広域連合が設置する、「京都府後期高齢者医療協議会」の第3回協議会が12月22日、京都市内で行われた。同協議会は、被保険者代表、医療保険関係者、医療関係者、学識経験者、行政関係者が委員を務め、京都府における後期高齢者医療制度の運営について協議を行うもの。制度実施前には2度の協議会が行われたが、制度実施後は今回が初めての開催となった。

 冒頭、四方八洲男連合長が挨拶。後期高齢者医療制度について「医療内容が制限される」、あるいは「死ねと言われている」などの指摘があるが、物事の本質を見ない軽はずみな論議だと批判。さらには、すでにレールが敷かれている制度に対し、未だにこのような議論がまかりとおっていることは遺憾とも述べた。その上で、制度自体の是非を問うような議論は下火、現実を見据えると当然とした。協議会において、大いにこの制度が良くなるように議論し、極端に言えば、後期高齢者医療制度京都府版を作るくらいの勢いでお願いしたい、と述べた。また同時に四方氏は、「近畿ブロックの広域連合長会議」を開催する予定であることを明らかにした。

 続いて委員交代の報告後、広域連合の原事務局次長から報告と意見交換が行われた。報告は大きくは3点にわたった。1つは、これまでの政府・与党による改善策についての解説、2つ目は被保険者資格証明書の運用の考え方(案)について、3つ目は京都府補助金による保険料率の引き下げについての報告。

 これまでの政府・与党による改善策については、低所得者に対する保険料の軽減(6月12日政府・与党決定)、被用者保険の被扶養者の軽減措置、長寿医療制度の創設により新たに現役並み所得になる方への対応(窓口負担関係)、75歳到達月の患者負担の限度額が2倍となることへの対応について、年金からの保険料徴収に係る対応についての概略が述べられた。このうち、新たに現役並み所得となった被保険者の自己負担限度額据え置きについて、自ら申請せねばならないことをめぐり、「寝たきり等、申請自体が出来ない方はどうすればよいか。それでも、役場へ自ら行かねばならないのか」(府歯科医師会)との趣旨で委員から意見が出された。これに対し広域連合は、市町村の窓口に出向いてもらわねばならない。該当しそうな人に対しては事前にお知らせをする、と回答。また、連合長は、地域の民生委員等から意識的に働きかけてもらうようにし、機会があれば、各市町村にも伝え、遺漏のないようにしたいと述べた。

資格証運用に慎重意見

 続いて、被保険者資格証明書の運用の考え方(案)が報告された。報告では、同証交付は法律に規定されていること、厚生労働省が実際の運用にあたって広域連合ごとに統一的に実施するよう求めていることを述べた上で、政府・与党の「資格証明書の運用にあたっては、相当な収入があるにもかかわらず、保険料を納めない悪質なものに限って適用する」との決定趣旨に依拠し、広域連合としての運用の考え方(案)は、保険料を滞納した方に対しては、できる限りの接触をはかり、個別の事情に配慮し、実態に応じた適切な運用を行うとした。結果、納付相談に応じない等、真に止むを得ない場合に限り交付するものと考えている。まじめに保険料を払っている方の納付意欲を削ぐことのないよう、負担の公平性に配慮するなどの趣旨で取り扱う。払いたくても払えない人たちに機械的に交付することのないようにしたい―と述べた。

 これに対し、委員からは「75歳以上の方の収入が今後増えるのは考えにくい。慎重な対応を」(府医師会)、「保険料の徴収は各市町村が行っており、被保険者には個別的対応が必要。個々の滞納者の状況を勘案するには職員の能力が問われる。これは、市町村間の対応の違いにつながるのではないか。実施研修などはしないのか」(健康保険協会)等の意見が出された。連合長は京都府が進める税務共同化の取り組みにかかわり、「税の共同化」が徴税業務からスタートし、この仕組みで最終的には後期高齢者医療の保険料も含め徴収していけるよう、市町村が足並みを揃えて進めていくと述べた。

 全ての報告後、全般を通じた意見交換が行われた。この中で「同じ高齢者でも健康な人はいいが、そうでない人もいる。みんな保険料や医療費を心配し、がんばっている。平均寿命が延びると人数が増えていく。すると負担金はどのようになるかと考える。戦中戦後がんばってきた高齢者が『報われた』と思えるよう、考えていただききたい」(府老人クラブ連合会)との意見が出された。これに対し広域連合長が、「家族がフォローするのが本来だ」と述べ、またそれに対し他の委員が「社会構造が全く変わっている。家族に頼れる人はまだ良い。独居老人が増えている。役所からの通知にも対処できない。いかに弱者への対応をするかが重要だ。この協議会が国の決めたルールの中で動かねばならない状況にあるから、論議も尽くせない。国に対し、今後の日本の医療・福祉をどうするかを提起していただきたい。それが一人ひとりの責任だと考える」(府歯科医師会)と発言する場面もあった。

 最後に、山田副連合長が資格証明書の運用の考え方の案をもとに、市町村と十分に論議をさせていただきたい。協議会について、今回は事後的開催となったが、今後はできる限り、国の制度改変等、動きのある都度に開催できるようにしたいとの趣旨であいさつし協議会は閉会した。

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