府内の医療はいま/南丹 地区医師会にきく  PDF

府内の医療はいま/南丹 地区医師会にきく

 南丹医療圏は、亀岡市、南丹市、京丹波町の2市1町で構成され、亀岡市は亀岡市医師会、南丹市と京丹波町は船井医師会が担当する。それぞれの医師会に現状をお聞きした。(連載は今回でおわり)

南丹医療圏

亀岡市 各病院の役割分担明確化 産科・小児科に不安も

 南丹医療圏の南部地域にあたる亀岡地区は、全体としては、亀岡市から京都市内へのアクセスが良いこともあり、患者の約3割が京都市内へと通っている状況。病院数は多くなく、その分それぞれの機能・役割が明確化されている。

 疾病別に医療提供体制を見てみると、がん・脳卒中については、公立南丹病院および亀岡シミズ病院が、急性心筋梗塞は公立南丹病院が診療連携拠点病院に準ずる役割を果たしており、特に公立南丹病院は24時間受入が可能となっている。

 救急医療提供体制では、脳外科関係については亀岡市の亀岡シミズ病院、京都市内では桂病院、シミズ病院といった病院も連携病院となっている。また、市の休日急病診療所が内科・小児科を受け入れており、最近では亀岡市立病院も外科系の救急受入が可能となっている。

 小児医療提供体制では、亀岡市立病院の常勤医が1人となっており、救急の受け入れが不可能となっている。代わって公立南丹病院の常勤医が6人となっており、救急の受け入れを行っている。他の医療圏と同じく亀岡地区でも小児科医の減少が目立ってきている状況。

 産科救急については、公立南丹病院が常勤医2人で救急の受け入れも行っており、開業医では亀岡地区で1医療機関のみと大変厳しい状況となっている。

 なお、在宅医療については、亀岡市医師会および亀岡市立病院の地域連携室が中心となって検討を行っており、現在システムづくりにむけて動き出している。

船井 広大な地域で連携に困難 医療機関の努力で維持

 南丹医療圏の北部地域である船井地区は、南丹市・京丹波町で構成される。広大な土地に、人口に占める高齢者比率が高く、人口密度が低い。そのため、医療機関の事業展開が難しく、全体として医師・医療機関の不足がある地域だと言える。

 疾病別に医療提供体制を見てみると、がんについては、診療連携拠点病院がないが、公立南丹病院がそれに準ずる役割を果たしている。放射線治療ができないことが大きな課題だが、同病院は各科が充実してきている。

 脳卒中では、京都府保健医療計画が進める医療連携で、船井地域では急性期を公立南丹病院が担い、回復期では明治国際医療大学附属病院が担う。回復期リハ病棟がないのが課題であり、退院後はかかりつけ医が対応している。医療機関が少なく、地域連携パスが機能するのは難しい。

 急性心筋梗塞については、公立南丹病院がアクティブに役割を担っている。

 救急医療提供体制では、外科系の救急は園部丹医会病院や丹波笠次病院と公立南丹病院が受け入れ、内科系は、明治国際医療大学附属病院や国保京丹波町病院も受け入れている。休日診療所的役割は公立南丹病院が担う。休日急病診療所的な行政施策は存在しない。

 小児救急医療提供体制では、公立南丹病院が6人で小児救急をまわしている。毎日、当直体制をとっているので、土日も入れると、若い先生は月に6〜7回はやっていることになる。これはかなりの過重労働であり、現在は何とかなっていても、不安がある。

 産科救急は、他医療圏と同様に、困難がある。公立南丹病院も産科医師の体制が2人になっている。しかし、船井地区では分娩を取り扱っているのは同院のみであり、現在も救急を受けているが、普通に考えて2人で救急受け入れをすることは困難ではないか。

 また、合併により、北桑田郡から南丹市へ編入された美山町では、美山診療所でたった1人のドクターが地域医療を担い、宮島診療所や美山林健センター診療所等南丹市の作るへき地診療所へは公立南丹病院から医師が派遣されている。

 全体としては、土地の広大さと、人口密度の低さにより、連携が成り立ちにくい。公立南丹病院や民間の各病院と、1人1人の開業医が懸命に努力することによって、何とか成り立っている。


 このたびの聞き取り調査にご協力いただいた地区医師会の先生方にあらためてお礼申し上げます。近々、取りまとめる協会の「京都府提案に対する対案と地域医療提供体制に関する提言」に反映させていただきます。

ページの先頭へ