広島生活保護訴訟で請求棄却/母子加算廃止「不合理でない」  PDF

広島生活保護訴訟で請求棄却/
母子加算廃止「不合理でない」

 生活保護制度の見直しで、一人親世帯に支給されてきた「母子加算」や、70歳以上への「老齢加算」の減額・廃止が生存権を保障した憲法に違反するかどうかが問われた訴訟の判決で、広島地裁(能勢顕男裁判長) は12月25日、原告の請求をいずれも退けた。

 広島県の男女27人が広島市など5市と県の処分取り消しなどを求めていた。原告側は控訴する方針。

 能勢裁判長は母子・老齢加算の減額や廃止を決めた判断過程が「不合理とは言えない」と指摘。国に裁量権の逸脱や乱用はないとした。

 同種訴訟はほかに8地裁と東京高裁で係争中。東京地裁は6月、老齢加算廃止に「裁量権逸脱はない」と合憲判断を下し請求を棄却、原告側が控訴した。母子加算をめぐる判断は広島地裁が初。

 能勢裁判長は国が廃止の根拠とした厚生労働省の審議会の専門委員会について検討。母子加算に関する委員会提言は「全面的に廃止を明言したものではない」とし、加算廃止が提言に従ったものではないとする一方、「一般母子世帯との比較などを総合勘案すると、加算に相当するほどの特別な需要はないと判断することが不合理とまでは言えない」と結論づけた。

 老齢加算の廃止についても「70歳以上の者の最低生活費が充足されない事態をもたらすとまでは言えない」とした。【共同】

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