山科医師会と懇談

山科医師会と懇談

2月5日 山科医師会診療所

16人が参加して開かれた山科医師会との懇談会

16人が参加して開かれた山科医師会との懇談会

DPC導入は在宅医療の推進に逆行

 山科医師会との懇談会は2月5日、山科医師会診療所で開催した。地区から11人、協会から5人が出席、谷口浩一庶務担当理事の司会で進められた。

 冒頭、服部阿紀彦会長は、昨年来の世界同時大不況のあおりを受け、相変わらずの政治不安が続いており、医療界にもその余波は及んでいる。今日の懇談では地区医師会と協会との関わりをより一層感じられるよう、活発な意見交換を行いたいと挨拶した。その後、関理事長の挨拶、各部会からの情報提供の後、意見交換を行うとともに、レセプトオンライン請求義務化撤回訴訟に関する報道番組「VOICE」を視聴した。地区からは以下のような意見が出された。

 まず、レセプトオンライン請求義務化について地区から、協会の問題意識の中に情報漏えいがある。しかし患者の医療情報の二次使用という観点からすると、電算化した医療情報の入ったフロッピーを紛失すれば、情報の漏えいのリスクは同じではないか。協会はオンライン化に反対しているのか、それとも電算化全体に反対しているのかとの質問が出された。それに対し協会は、問題はオンラインで送信している間の情報漏えいである。電算化は時代の流れの中で受け入れざるを得ないが、オンライン請求の義務化に反対している、と説明した。

 また地区から、国は在宅を推進しているが、在宅には家族の支えが不可欠であるにもかかわらず、核家族化の進む日本の現状を無視している。その一方で、在宅医療を助ける役割を担う施設は減らされてきており、開業医の負担が増えるばかりである。また、病院にDPCが導入されてから、家族の介護疲れや家族の都合という理由だけでは、患者の受け入れを頼みにくくなった。DPCをはじめとする低医療費政策は、在宅医療の推進に逆行している、との意見が出された。協会からは、今後の医療を支えるためには、在宅医療も施設もどちらも欠くことのできないものである。つまるところ、低医療費政策に歯止めをかけなくてはならない。国の一般会計と特別会計を合わせた221兆円のうち、医療に使われているのは3・2%にすぎない。定額給付金や、天下り先法人への税金投入などがもっと有効に使われれば、5年間で社会保障費1・1兆円削減する計画は何年も先送りにできるはずだ、と述べた。

 さらに保険医協会の政治的スタンスについて、保険医協会の方々のご努力には頭が下がるが、どうしても特定政党のイメージが付きまとう、との意見が出された。これに対し協会は、1949年の設立以来、社会保障の充実と保険医の権益擁護を旗印にしてきた。協会が特定政党に同調、あるいは結託しているということは一切ない。どの政党であろうと、我々にとって良い意見であれば取り入れていく、と説明した。

 最後に藤原康典副会長から、顔と顔を突き合わせて議論するにふさわしい有意義な内容であった。まだまだ厳しい医療界だが、協会には我々の意見を届けて下さるよう頑張っていただきたい、と挨拶し、閉会した。

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