居住先整えば6割が退院可能/厚労省研究班が調査

居住先整えば6割が退院可能/厚労省研究班が調査

 厚生労働省の「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」は6月25日、5回目の会合を開き、厚生労働省が提示した精神病床の利用状況や諸外国の精神保健福祉の動向をまとめた資料を基に議論した。

 精神病床の利用状況については、厚労省の「精神医療の質的実態把握と最適化に関する総合研究」班が実施した調査の速報値が示された。同調査は全国の精神科病院1542施設を対象に実施。回収率は64.6%で、990施設から回答を得た。各施設の入院患者の1割を抽出して調査し、対象患者数は1万7819人。2008年2月15日とその1カ月後の3月15日時点の状況を調べた。

 2月15日時点での「入院の状況」についての質問では、「生命の危険は少ないが入院治療を要する」とされた患者は62.6%、「生命の危険がある」は2.9%であるのに対し、「受け入れ条件が整えば退院可能」は33.6%。ここで退院可能とされた患者は3割強との結果だった。

 一方、「居住先・支援が整った場合の退院の可能性」についての質問では、近い将来を含めて退院可能とされた患者の割合は60.4%に達し、6割以上の患者が退院可能という結果を得た。

 ただ、「入院の状況」と「居住先・支援が整った場合の退院の可能性」の回答結果についてクロス集計を見ると、「入院の状況」で「受け入れ条件が整えば退院可能」とされた患者でも、「状態の改善が見込まれず、居住先・支援を整えても近い将来退院の可能性なし」が1.8%含まれるなど、一見矛盾する結果となった。

 こうした点を含め、厚労省では「受け入れ条件」の具体的な内容など、さらに詳細な検討が必要としている。このほかクロス集計の内訳は、「現在の状態でも、居住先・支援が整えば退院可能」5.2%、「状態の改善が見込まれるので、居住先・支援などを新たに用意しなくても近い将来退院可能」2.0%、「状態の改善が見込まれるので、居住先・支援が整えば近い将来退院可能」24.6%となっている。

 また1カ月後の在院状況と年齢をクロス集計した結果からは、高齢者の方が退院しづらい状況が浮き彫りになった。入院期間についても、長期化するほど退院数は減る傾向にあった。(6/26MEDIFAXより)

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