専門医会長との懇談会を開催  PDF

専門医会長との懇談会を開催

各科の診療報酬要求等をきく

 京都府保険医協会は専門医会長との懇談会を3月19日に開催。専門医会から13人、協会から9人が出席した。(1)協会役員の改選、(2)協会に寄せられた審査相談の傾向等、(3)2010年度審査に関するアンケート調査結果、(4)各科別の医療費の動向、(5)社会保険研究会・診療内容向上会の開催―について担当理事が説明を行い、各専門医会からは各科の昨年改定の不合理部分、医療機関への影響、次回改定への要求などについて意見・要望が出された。

 懇談の冒頭、関理事長が東日本大震災による犠牲者に対してご冥福を祈るとともに、被災者・被災地への救援募金活動を協会としても行い、一刻も早い復旧・復興を願っていると挨拶した。各専門医会からは以下の意見と問題点が報告された。

 (胸部)呼吸器の理想的治療を行おうとすると、包括点数のために経営面で赤字になる医療機関もある。きちんとした呼吸器管理ができるような診療報酬にしてほしい。

 (小児科)小児科外来診療料は検査をすればすぐに飛んでしまうぐらいの点数なので、点数を引き上げてほしい。小児の在宅医療問題も協会として考えてほしい。

 (外科)前回改定では手術点数が上がったのは、外保連の要求の力によるもの。京都外科医会の組織として診療報酬の具体的要求を外保連にあげていきたい。

 (産婦人科)産婦人科医会として、まとまった要望・意見は今のところはない。

 (耳鼻咽喉科)前回改定では耳鼻咽喉科に関連する常用点数の引き下げが行われた。ここ10年間を見ると、受診日数も平均点数ともおそらく減少しているのではないか。

 (皮膚科)稗瘤腫の摘出術をしても創傷処置の算定にしかならないので、別に点数項目を作ってほしい。また、100cm2未満の皮膚科軟膏処置が基本診療料に含まれたが、復活してほしい。

 (泌尿器科)前回改定で内視鏡関連の手術点数は上がったが、機器メーカーが儲かっているだけではないか。また最近、泌尿器科に進む医師が少なくなっているので心配である。

 (精神科)精神科診療の生命線である通院精神療法が引き下げられて困っている。最近の精神科領域の薬物治療は、他科からは理解しにくい時があるので問い合わせてほしい。

 (麻酔科)前回改定を踏まえ、コストを積み上げて要望を出している。学会から診療報酬アンケートが来てまとめているところである。

 (消化器)非アルコール性脂肪肝炎においてフェリチンやヒアルロン酸などの検査を診断として、また治療として瀉血療法を診療報酬上認めてほしい。緊急内視鏡加算の新設、慢性胃炎でのヘリコバクター・ピロリの感染診断と除菌治療への保険適応を拡大してほしい。

 (形成外科)形成外科は外科に属しているが、手術の割合が高く、外科の中では平均点数が高くなるため、指導の対象になりやすい。平均点数ではなく総額点数で考えてほしい。

 (糖尿病)インスリンを投与してない患者の治療で、血糖試験紙を使うことによってコントロールできるので、広く認めてほしい。医療費削減の観点からも有効である。

 (透析)透析患者は毎年増加傾向である。鉄欠乏性貧血の診断基準が最近厳しくなったが、透析点数がそうした医療行為に見合う点数になっていないことは問題である。

 その他に、「審査アンケート調査結果の自由意見を読むと、審査委員と現場の保険医が話し合える場があればよいと思う」「肝炎患者のインターフェロン治療費助成事業について、自治体から医療費が入金されるが、どの患者の分が入金されたかわからない。明確に把握できるようにしてほしい」「腫瘍マーカーのPSAは重要な検査である。基本健康診査にPSAを含めている自治体もあるが、まだ京都では含まれていない」などの意見・要望が出された。

 協会からは、前回改定はプラス改定といいながら、診療所ではそれほどアップしていない。この日出された意見も踏まえて、中医協や厚労省に要望を出していきたい。また、京都における審査では、基金・国保の審査委員会とも保険者攻勢の防波堤になっていると考えている。医療機関と審査委員との交流がもう少しあったらとも考えるので、協会の活動・企画を活用していただきたい、と伝えた。本日の各専門医会からいただいた意見・要望は、今後の運動に活かしていきたいと伝え、懇談会を終了した。

専門医会長との懇談のもよう
専門医会長との懇談のもよう

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