国民会議の最終報告「医療費亡国」の大転換に/分科会座長の大森氏  PDF

国民会議の最終報告「医療費亡国」の大転換に/分科会座長の大森氏

 社会保障国民会議サービス保障分科会座長の大森彌・東京大名誉教授(社会保障審議会介護給付費分科会長) は10月17日、茨城県東海村で開かれた「介護保険推進全国サミット」で講演し、10月末にまとまる予定の国民会議の最終報告について「これまで、医療費が高まると日本の国が崩壊するというばかばかしい前提の議論があった。これが(最終報告で)決定的に変わる」と強調した。

 さらに、「福祉国家が大きくなると経済成長は鈍化するという、国際社会ではまったく通用しないことを平気で言うような人がかつてはいた」とし、これまでの社会保障費の削減方針を転換すべきと主張した。

 大森氏は「(社会保障の上で) やはり小泉構造改革がひどかった。あの人は一体何をした人なのか。普通の人なら評価するはずがない」と述べ、社会保障費削減の発端となった小泉純一郎・元首相の構造改革を強く批判した。一方、社会保障国民会議を立ち上げた福田康夫・前首相については「これまでの総理が手掛けなかった社会保障に手を掛けた人だった」と評価する姿勢を示した。

 大森氏は国民健康保険の今後の在り方について「すべての市町村が参加しなければ生きていけない仕事こそが、広域自治体としての都道府県の仕事だ」とし、国保と後期高齢者医療制度をワンセットとして都道府県単位で動かすべきとの認識を示した。その上で、舛添要一厚生労働相が示した私案に対し「厚労大臣が頑張っておられるなら応援したい」と述べた。

 現行の後期高齢者医療制度に対しては「内容は悪くはないが、政治的に廃止が争点になったからには持たないだろう。見直さざるを得ない」と述べた。(10/20MEDIFAXより)

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