国側、全面的に争う構え/レセプトオンライン横浜訴訟  PDF

国側、全面的に争う構え/レセプトオンライン横浜訴訟

 厚生労働省令で2011年4月から原則義務化されるレセプトのオンライン請求をめぐり、全国の医師・歯科医師1744人が国を相手取り、オンライン請求義務の不存在確認と慰謝料の支払いを求めている訴訟の第1回口頭弁論が9月9日、横浜地裁であった。国側は請求棄却を求める答弁書を提出し、全面的に争う構えを見せた。原告の医師らは意見陳述で「オンライン請求の義務化は保険医の死活問題」と訴えた。

 訴状によると、原告らは「義務化を定めた省令は、営業の自由を侵害しており違憲」などとして、オンライン請求の義務がないことの確認と、多大な費用負担を迫られたことにより受けた精神的苦痛に対する慰謝料として、1人当たり100万円の支払いを求めている。

 同日の法廷では、原告団幹事長の入澤彰仁医師ら4人の医師・歯科医師が意見陳述した。

 入澤氏は「オンライン請求に対応できない保険医は事実上、医師・歯科医師を廃業せざるを得ない。長年、地域に根を張り、住民の健康を守ってきた医師・歯科医師が治療とは直接関係のない請求方法の問題でリタイアを迫られている」と主張。「機材が高く、小さな診療所には負担が重い」「廃業すべきか、続けるべきか思案している」など、医師らの声を読み上げ、「IT化が進む分野はいろいろあるが、請求書がオンラインでないと費用は支払われない分野がほかにあったら、回答していただきたい」と、被告席に向かって強い口調で述べた。

 一方、原告団長の平尾紘一医師と原告の藤田倫成医師は、オンライン請求による情報漏洩の危険性を指摘。平尾氏は「情報漏洩を懸念する患者からオンライン以外の方法を求められてもできなくなり、事実上、健康保険が使えなくなる」と述べ、藤田氏も「病名、病歴、保険証番号といった情報を含むレセプトデータが医療機関、基金や保険者などから流出した場合、医療機関の責任となる」とし、「零細開業医にとっては過大な負担を強いるものだ」と訴えた。(9/10MEDIFAXより)

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