原子力事故賠償1000億円に/文科省、09年法改正へ

原子力事故賠償1000億円に/文科省、09年法改正へ

 原発や使用済み核燃料再処理工場などの事故で住民らへの損害賠償が必要となった場合に備え、文部科学省は、電力会社などに準備を義務付ける資金を、現行の600億円からほぼ倍増させ、1000億円以上に引き上げる方針を固めた。

 準備金見直しは1999年以来。前回の見直し額が適用される前に起きた99年の東海村臨界事故で、賠償額が想定を大幅に超えたことや、海外の情勢、2007年の新潟県中越沖地震で原発が被災したことも考慮した。金額は1000億−1200億円で調整中で、近く額を確定し、09年中に原子力損害賠償法(原賠法) を改正する。

 原子力事業者は原賠法に基づき、通常の原子力事故に関しては民間保険に加入、地震や噴火などによる原子力事故は政府と補償契約を結んでおかなければならない。民間保険では、保険会社が共同で原子力保険を引き受け、事故時には住民や周辺企業が受けた被害補償に保険金が充てられる。

 文科省原子力計画課は「健康被害や経済的打撃への救済能力は大幅に強化されるが、安全確保が大前提だ」としている。【共同】

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