厚労省、社会保障カード導入効果を調査/日医などは反発

厚労省、社会保障カード導入効果を調査/日医などは反発

 厚生労働省は、社会保障カード(仮称) を導入した場合の効果を試算するため、医療機関などを対象にした調査を開始した。厚労省は「仮に健康保険証としてカードを導入した場合、オンライン化による資格確認などの導入効果を調べ、検討会などで活用することが目的」としているが、日本医師会などは「調査票に添付された資料では、カードがそのまま導入されるかのような誤解を招く恐れもある」と反発。調査に協力しない方針を示している。

 厚労省によると今回の調査は無作為抽出された病院4900施設、診療所4400施設、歯科診療所2800施設、薬局2100施設が対象となる。民間業者に調査を委託し、12日から各施設に調査票を送付した。年間のレセプト件数や要因別の返戻レセプト件数・点数、資格返戻レセプトで再請求できずに発生した未収金、返戻レセプトの確認・再請求作業にかかる人員、時間、経費などについて尋ねる内容だ。カードの導入に対する期待や不安などの自由記述を求める項目もある。10月8日(当日消印有効) までの回答を求めている。

 調査票の添付資料には、健康保険証や介護保険証、年金手帳としての役割を果たすものとしてカード導入を検討している旨を説明。8月29日に開かれた厚労省の「社会保障カード(仮称) の在り方に関する検討会」で示された議論整理案から抜粋した図表などを使って、オンラインによる保険資格の確認やレセプト自動転記の仕組みのイメージなどを解説している。

 これに対し日医は9月18日付で、調査に協力しない方針を中川俊男常任理事名で都道府県医師会に伝えた。「カード導入のメリットだけでなくデメリットについて十分検討し、慎重な対応を求めている段階」と指摘し、検討会や日医への事前連絡なく調査が実施されたことに不快感を表明。厚労省の対応に抗議するとともに、会員にも調査に協力しない旨を周知するよう依頼した。

 22日には保団連も「医療費抑制を目的とする『社会保障個人会計』の構築を目指す布石だ」などとして調査の中止などを求める談話を発表した。

 検討会に示された議論整理案では、カード導入でオンラインでの資格確認やレセプトへの自動転記が可能となり事務費削減効果があると指摘する一方、安全運用面での課題も指摘。検討会は「さまざまな仮定の上での議論の整理」であるとして、今後も検証を重ねながら検討する方針を確認していた。(9/24MEDIFAXより)

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