医療安全調査委法案でパブコメ公表/厚労省

医療安全調査委法案でパブコメ公表/厚労省

 厚生労働省は10月8日、4月に公表した「医療の安全の確保に向けた医療事故による死亡の原因究明・再発防止等の在り方に関する試案」(第3次試案)と6月公表の「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」に対するパブリックコメントのうち、6月14日−9月30日集計分を発表した。第3次試案と大綱案へのパブコメは引き続き募集する。

 今回発表したパブコメは計61件(団体22件、個人39件)。団体の内訳は医療職能団体からが5件、医学関係学会8件、病院関係団体ほか7件、患者団体・弁護士団体ほか2件だった。医療職能団体では、兵庫県医師会(西村亮一会長)や神戸市医師会(川島龍一会長) などがパブコメを寄せた。

 兵庫県医師会は「厚労省が3次にわたる試案を提起し、パブコメを求め、慎重な対応をしていることに敬意を表す」と前置きした上で、大綱案について「3次試案に至る問題点が根本的に克服されたものとは言えず、むしろ多くの課題を残したままとなっている」と指摘した。さらに、8月に無罪判決が言い渡された福島県立大野病院裁判を例に挙げ「まっとうな産婦人科医療を守り育てる立場から、厚労省は(警察・検察の) こうした不当介入を二度とさせない申し入れを行うべき」と求めた。

 また「刑事介入からの例外措置をお願いするような形で、本案の調査委員会を受け身かつ刑事処分と連動して設置するという本末転倒を犯してはならない」と訴えた。

 一方、神戸市医師会は大綱案の白紙撤回を要求。「先人たちが培ってきた社会の共有財産とも言える医療を、法社会の単純な悪癖に当てはめることはできない」と指摘した。また、医療安全調査委員会について「警察の医療調査班と解釈できる」などとしながら、「法の枠に入れて強く管理・支配をすることで、良質な医療を導こうとする発想は乱暴で稚拙すぎる」と批判した。(10/9MEDIFAXより)

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