医療安全対策の常識と工夫(47)  PDF

医療安全対策の常識と工夫(47)

医療安全対策の実践(2)「医療安全研修会」

 医療機関は基本的に有資格者の集団で、それぞれの専門技術を修得した方々によって運営されています。しかしながら、その専門を学ぶ課程で患者さんへの医療以外の対応(接遇など)や医療安全対策については、あまり学習する機会がなかった様子が窺えます。

 本来ならば、各大学や専門学校が時代のニーズに応えながら、徹底教育すべきなのかも知れませんが、医療現場ではそのような悠長なことを言ってられないのが現状でしょう。そこで、その役割を担うのは医療機関とならざるを得なくなります。ただ、一朝一夕に独力で医療安全の研修会を開催できるものではないかもしれませんので、その際は、先ず京都府保険医協会をご利用いただきたいと思います。協会では各医療機関のニーズに応えた研修会を、担当理事や弁護士、事務局を医療機関まで派遣して開催することが可能です。更に、医療法で定められた研修に相当するとともに、日本医師会生涯教育制度の単位にも認定されます。内容としては、一般論あるいは基礎的な学習会も可能です。参加者も全従業員対象から極少数まで対応します。是非ご利用下さい。

 研修会を開催すれば、直ちに絶大な効果が出るとは限りませんが、研修会を経験した多くの医療機関は、その後に紛争が減少、あるいは紛争が発生しても事後対応がスムーズに行われている様子が窺えます。これは研修会で得た知識の実践と共に、医療機関の管理者の「医事紛争発生を阻止するんだ」といった、強い問題意識を各従事者に知らしめた結果のようです。つまり、研修会開催は知識やテクニックの伝授以外にも、管理者の姿勢を示す良い機会となっているようです。

 次回は、医療安全対策の要ともいえる、医療安全担当者についてお話しします。

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