医療の安全確保と保険医療の擁護に向け国民的投資の増大を

医療の安全確保と保険医療の擁護に向け国民的投資の増大を

 協会は、医療の安全確保と保険医療制度の充実を求める活動・提言を進めている。前者の一環として身近な事例をあげ、来る3月13日(土)09年度医療安全シンポジウム「医事紛争を探る―幾つかの事例検討」を開催する。是非出席いただきたい。

 後者には、保険医療に対する国民の擁護意識の喚起・向上が重要である。例えば、このような事例がある。右折時、左方からの左折車に側面衝突された被害車両の運転者(事故証明で乙)・傷害患者によれば、相手(同甲)は自賠責保険のみで、いわゆる任意保険には加入なく、「自分こそ被害者であり、自分の自賠責保険を使うな」と無理な主張をした。自車の任意保険会社の担当者に相談すると、「医院には健康保険診療で受療し、患者自己負担分はオプションの傷害保険で支払う」と説明されたが、「なぜ、相手側の過失部分まで自分が保険料を支払い、加入している両保険で負担するのか不思議で、理解できる説明もなく疑念を感じた」とのことであった。「それならば健康保険証の提示を取り下げ、自由診療で一点単価は上がるが、自賠法16条1項により本人請求すればよい。事務手続きは手伝い、支払いはそれまで待つ」と勧めたが、最終的には保険会社担当者の勧めを選んだので、健康保険診療を遡及的に開始し、本人には健康保険組合への第三者傷害の届出を指導し、自己負担分の支払いを請求した。保険会社から「社会保険一括で請求を」と理解できぬ要請文が来た。口頭では「本人の自己負担分をまとめて保険会社に請求してもらいたい」との説明であり、健康保険法などに違反するので断り、保険会社との契約関係の発生はみない。

 本人へは、保険会社から医療費自己負担額や、通院慰謝料相当額が保険金として支払われ、健康保険組合からは、医療の現物給付のうえ保険医療機関への支払いがなされるが、更に加害者側自賠責保険会社へ本人に代位して求償し、過失割合部分を回収して初めて、加害者の損害賠償責任が果たされる。健康保険組合など他者のこれらの権利が踏みにじられぬよう、第三者傷害とのレセプト注記を忘れず、自賠責用書式での診断書と請求明細書の発行送付の保険会社の依頼には、本人からの発行の意思表示と送付には、提供の同意書が必要である。また、通勤途上や業務中でのものであれば、労災保険や公務災害としての取り扱いを要する可能性もある。「医療保険崩壊」回避に向け地道な様々の方策が求められる。

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