医界寸評  PDF

医界寸評

 最近、国家の重要秘密の漏洩事件が相次いでいる。日本政府は情報セキュリティ政策会議や官房セキュリティセンタを設置し、セキュリティ最先進国を目指し、達成されつつあると言う。しかし、未だに世界からは非常に低い評価である。インテリジェンス(情報)管理の基本が政府から国民まで分かっていない

▼例えば尖閣ビデオ流出問題:国家や国民の生命や安全に深く関わる職種(警察や保安官、医療者等)に課せられた守秘義務遵守は当然で、職場内で多くの人が見れる情報であったからといって薄まるものではない。病院の電子カルテでは同時に多数の職員が患者情報を見れる環境にある。しかし、だからといってどの職員も患者の個人情報を公表して良いものでは絶対にない。尖閣ビデオの秘密度は全く別次元で判断するもので、例え多数の世論が求めても一職員が勝手に「正義」を自己判断し、情報を持ち出すなど以ての外である。極悪犯罪人で大多数の世論が求めようが、その個人のカルテ情報を絶対公表してはならないことと同価である

▼問題はこのような漏洩行為を多くのマスコミや世論が容認し、政府や検察までも流されて違法性を不問に付する国家の在り方である。セキュリティの基本思想が全く不在の、情報管理極貧国ぶりを露呈した事件であった。このような国でレセプトやカルテの電子情報が漏洩や進入なく安全に利活用される保証は全くない。(S生)

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