医界寸評

医界寸評

 最近ナースプラクティショナー(NP)なる言葉をよく耳にする。医師に代わって比較的簡単な初期診療などを担う診療看護師で、米国、カナダ、イギリス、オランダ、韓国などで制度化されている。医師不足、医療崩壊が問題になる中、昨年厚生労働省は「チーム医療の推進に関する検討会」を立ち上げNP導入も含めて議論してきたが、今年2月、専門的な臨床実践能力を持つ新たな看護職として特定看護師(仮称)を提案、話題を呼んでいる

▼外科学会をはじめ外科系学会はもともとNPや外科医の補助をするフィジシャン・アシスタント(PA)の養成を要望しており期待する声が多く、日本病院会や全国自治体病院協議会も賛成の意見は多い。日本看護協会は態度を明確にしていなかったが、今年1月「米国とは違うNPの導入を目指す」と看護師の業務拡大に積極的な姿勢に転じた

▼一方、日医は特定看護師には反対で現行法の中での看護業務の拡大、いわゆる「グレー」領域の中から看護師が実施可能な範囲を明らかにするという立場である。新しい原中会長もNPなどアメリカナイズされた医療を日本に持ち込むことに不快感を示している。日医と外科系学会や勤務医との考え方の違いが浮き彫りにされた格好だ。高度化、複雑化する現代の医療を医師だけで行うのは無理でありチーム医療の確立が急務という、勤務医の追い詰められた気持ちをもう少し聞く必要があるだろう。(彦)

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