医界寸評

医界寸評

 国民注視の中、新政権による「事業仕分け」が終了した。蓮舫議員の切れ味鋭い物言いが物議を醸す中、マスコミも連日報道を繰り広げ、総指揮に当たった仙谷氏は「国民の皆様が自分たちの税金の使われ方に注意を向け、議論していただき画期的なこと」と、この作業を高く評価した

▼医療分野のやりとりを見て驚き、あきれた。少しでも削りとれないかと懸命に無駄を探そうという姿勢は分かる。しかし、医療体制の基本構造をまるで理解しない者が寄って集って誤った悪しき思い込みで言いつのってみたところで所詮茶番。当事者としては失望と不快感ばかりが残る

▼他分野においても同様に違いない。特に、科学技術等の基礎的研究に従事している人々はひどく傷つかれたのではと案じる。思い余ってノーベル賞学者の皆様が、かつてない厳しい言葉で抗議されたが私たちは頭をたれて反省すべきだ

▼学問の発展には多くの無駄がいる。報われることなく積み上げられた献身的な人々の基礎研究の蓄積があってこそ、花は咲かすことができる。どの世界においても同じだろう。国民の地道な下積みの努力に対して、あまりに居丈高に決めつけて畳みかけて断罪するなど言語道断の仕打ちである

▼権力を持った民主党には、ふさわしい行いを期待する。白か黒かと選別するような直裁的なやり方を簡単に持ち込まないでいただきたい。その余裕の無さは、とても怖い。(さ)

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