医界寸評

医界寸評

 新政権は「コンクリートからヒトへ」をスローガンに国民の支持を得て、ダム事業等の見直し・執行停止を指示した。他のOECD諸国より突出して多い公共事業費は「ハコモノ」行政としてムダと利権の温床であり、内容を精査しムダな事業や補助金は停止して、福祉(ヒト)に廻すとした

▼ダムや建物は見えやすい。ところが、今日の行政は国民から全く見えない「電子政府」を建設中である。国民の利便性の向上と効率化を大義名分に行政のIT化が推進されてきた。しかし、何でもIT化すれば良い訳ではない

▼例えばパスポート申請はIT化で便利になると喧伝されたが利用は低迷し遂には廃止された。廃止されるならまだ良いが、利用低迷ながら存続し続けている行政サービスが多数あり、高額の年間維持費がかかっている。これは「見えないハコモノ」である

▼現在構想中の「電子私書箱(←社会保障カード)」は、その性質上一旦運用が始まると低利用率でも止められない。しかし、国民にとって利用価値が低いことは目に見えている

▼新政権はIT化推進の立場を踏襲しているが、全ての「電子政府」事業で費用対効果、さらには情報漏洩リスク等を根本から見直し、不要不急な事業や計画は即刻停止すべきである。少なくとも毎年全事業の運用実績と費用を公開して、費用対効果の薄いサービスはドンドン廃止できる制度を組み込む必要があろう。(S生)

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