医界寸評

医界寸評

 社会保険事務所の職員が厚生年金の記録改ざんのみならず、政府管掌健康保険の偽装脱退にも関与していたとの報道があった。考えてみれば、厚生年金と同時に医療保険も加入・脱退することになっているので、年金を改ざんすれば、当然といえば当然行われたであろうことである。しかし、それには何人もの人が関与せねばならず、対象となる人の診療報酬明細書を選びだして抜き取るという大変手間のかかることをせねばならない。徴収率を良く報告するため、内部で大変な労力を費やしているものである。公務員恐るべしである。年金問題も泥沼状態になっているのに、医療保険の改ざんまで調べる余裕などないであろうが、医療費抑制と言いながらこんなところでお金を使っていたというのは徹底的に追及してもらいたいものである

▼地方自治体で、国からの補助金など使い切れなかった分を業者にカラ領収書をもらって、貯めておくということを当たり前のようにしていたことも報じられている。予算はキッチリ使い切らねばならないという当たり前のようで至難の業であることを、当然行わないといけないと思い込んでいる公務員からしたら、期限内に残りゼロにする必要があったのであろう

▼いろいろなところで官僚のボロが表れてきている。官僚を使いこなせる政治家を育ててこなかった報いであろう。政治家を育てられる有権者にならねばならない。

(門雀庵)

【京都保険医新聞第2663号_2008年11月3日_1面】

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