医界寸評(木鼠)20090406・13

医界寸評(木鼠)20090406・13

 厚労省が11年度に導入を目指している「社会保障カード」(仮称)がある。これは旧社会保険庁による杜撰な年金記録問題を逆手に取った形で、ICカードにより個人が自らの年金記録を確認できるように、そして同じカードに健康保険証や介護保険証を合わせ、住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)に統合させるという▼オンライン請求により得られた医療情報や特定健診データも蓄積され、医療・介護・年金などの情報が一元化される。政府・厚労省はこの社会保障カード導入によって行政機関、保険者、医療機関や事業者の事務負担軽減、資格確認の容易さなどをメリットとして持ち出してくるであろうが、これで個々人の社会保障の給付と負担が分かる“社会保障個人会計”が構築可能となり、社会保障における公費分の回収、医療費抑制にもつながる▼さらに、納税者番号も当てはめれば、“国民総背番号制”が完成することになる。1個のコードのもと、あらゆる個人情報を“お上”に一元管理され、逃げも隠れもできない社会が到来する。民主主義社会においては国民が国家を監視することがあっても、国家が国民を監視することはあってはならない。個人情報満載のこのカードの漏洩時の被害は、桁違いのものになるであろう▼強調しておかなければならないのは、このカードはレセプトオンライン請求義務化を前提としていることである。(木鼠)

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