医師国保問題「適正な政策的判断を」/中医協で安達委員ら  PDF

医師国保問題「適正な政策的判断を」/中医協で安達委員ら

 行政刷新会議の事業仕分けで、医師国保組合や歯科医師国保組合に対する国庫の定率補助の廃止を含む定率補助5段階案(B案)が採択されていることについて、9月28日の中医協総会で安達秀樹委員(京都府医師会副会長)が「B案の根拠となった財務省試算には大きな不備があり、B案を根拠に国保法改正案を提出することがないよう警告と、お願いをしておきたい」と述べ、政策的判断を誤らないよう求めた。

 日本歯科医師会常務理事の堀憲郎委員もB案の根拠となった試算に疑義を示し、「玉石混交の事業仕分けの中で、国保に対する補助の見直しは限りなく石に近い」と問題視した。日本医師会常任理事の鈴木邦彦委員も、事業仕分けによる医師国保の補助の見直しには反対との考えを表明した。

 政府は所得水準の高い医師国保に対する補助を2012年度から5年間かけて段階的に引き下げ、2016年度に廃止する方針を打ち出している。

●「将来予測も正しくない」
 安達委員は「08年度決算分を見ただけでも、財務省試算の保険料収入は過大評価されている。支出についても前期高齢者などの補正がされていないほか、自家診療分の保険料請求を自粛している実態も勘案されておらず、過小評価されている。将来予測においても正しいとは言えない」と指摘した。

 その上で「市町村国保並みの保険料で赤字になるなら、医師国保が存続する意味がない。解散し市町村国保や協会けんぽに加入すればいい。しかし、それでは今よりも国庫補助の負担額が膨らむことは明らかだ」とし、「行政刷新の事業仕分けは、国庫の余剰な支出を削減することが目的なはずで、医師国保の定率補助の見直しは回避させることが必要だ」と述べた。

 厚生労働省保険局国民健康保険課は、現状を踏まえ試算についてさらに精査したいと回答した。定率補助の見直しは国保法改正が必要だが、国保課は9月28日時点で「法案提出の時期は未定」としている。

 全国医師国保組合連合会は10月に、国保組合に対する定率補助廃止反対の決議文を採択する方向で、政府への攻勢を強めていく方針だ。(9/29MEDIFAXより)

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