保険料滞納16万事業所超える/過去最悪、景気後退で  PDF

保険料滞納16万事業所超える/過去最悪、景気後退で

 厚生年金や旧政府管掌健康保険(政管健保) の保険料を滞納している事業所が、社会保険庁の2008年9月末のまとめで約16万4500カ所に上ることが12月27日、分かった。社保庁が集計を始めた00年以降で最悪となり、加入事業所全体の約1割を占める。

 07年の米サブプライム住宅ローン問題以降の景気後退で、業績が悪化し保険料を払えない企業が増えたことが一因とみられる。ただ、今回の集計は最近の急激な経済危機の前に行われており、滞納事業所はさらに増える恐れもありそうだ。

 滞納事業所数は、08年7月末時点で保険料を一部でも納めていないケースを9月末に集計。08年5月末にまとめた約12万3700カ所に比べ約4万カ所増えた。

 08年10月、全国健康保険協会(協会けんぽ) に移行した旧政管健保は、社保庁が運営主体で、中小企業の従業員らが加入する健康保険。滞納事業所もほとんどは中小零細企業とみられる。勤務先の企業が滞納しても、従業員が医療費の全額負担や年金給付の減額といった直接の不利益を受けることはないが、厚生年金や健康保険の財政にはマイナス要因となる。

 社保庁は景気悪化以外の原因として、全国の社会保険事務所が滞納事業所数を年度末に減らすように対策を立てるため、年度途中では増加する傾向があることを指摘。

 このほか、社保事務所の職員が年金記録問題の対応に追われ、督促や資産の差し押さえまで手が回らない結果、滞納事業所数が減らないという側面もある。【共同】

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