保険医の"実質的勝利"で終結 レセプトオンライン義務化撤回訴訟

保険医の”実質的勝利”で終結 レセプトオンライン義務化撤回訴訟

 レセプトオンライン請求義務化撤回(横浜)訴訟は2月22日、第4回口頭弁論を迎えた。開廷直後に原告代理人の小賀坂徹弁護士(原告団事務局長)が訴訟の取り下げを明言した上で、弁論を行った。国も法廷の場で取り下げに同意したため、同日付で訴訟は終結した。一方、大阪訴訟は、2月12日に訴訟の取り下げを申請、2月16日に国の同意書を受け取り、同日付で訴訟が終結している。09年1月21日の横浜地裁への提訴から1年あまり。全国の保険医2千人超が原告となって国を相手に闘った訴訟は、原告の“実質的勝利”で終えることになった。この件について、2月23日付の朝刊(朝日新聞、読売新聞、神奈川新聞)が報道した。

勝利を確認した報告集会
勝利を確認した報告集会

医療現場、国民目線に立った医療行政を

 小賀坂弁護士は弁論で、オンライン請求義務化の撤回運動と撤回に至った経緯を説明した上で、義務化の背景と問題点(医療崩壊の助長と医療現場の無視、憲法41条違反)、電子レセプト請求義務化に伴う問題点(ナショナルデータベース化と標準医療の問題)を指摘した。

 加えて、本訴訟を契機に、医療行政の問題点に焦点が当てられたことは、医療機関のみならず国民にとっても極めて重大な「成果」であったと評価。今後は医療現場、医療を受ける国民の目線に立った医療行政を行うよう強く求めた。

 口頭弁論終了後に報告集会が開かれ、集会では、原告団、弁護団からの挨拶とともに、原告の“実質的勝利”と終結を確認した。

 平尾紘一原告団長は、「今日という日が迎えられてよかった。国が取り下げに同意したのは、弁論内容にも同意したということ。そうであれば、今後は理不尽な省令、通知はなされないはず」と挨拶した。

 原告団弁護団長の田辺幸雄弁護士は、「09年11月25日の省令改定で訴訟の目的は達成された。行政が一旦決定した政策を実行前に撤回したことは極めて異例。省令改定で残された問題として、医療行政がこれまで省令や通知で国民の権利義務に係る事項を規定してきたことがある。行政主導ではなく、国民本位の行政を求めていく必要がある。レセプト電子化に伴うデータの管理、利用のあり方は、国民とともに考えなければならない」と指摘した。

 最後に入澤彰仁原告団幹事長は、「訴訟では、問題を国民に広く知ってもらう機会として、マスコミの力の大きさをあらためて実感した。今回の勝利は、弁護団と原告団のチームワークによるもの。全国の保険医協会・医会に厚くお礼を申し上げたい」と締めくくった。

ページの先頭へ